佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『上流階級 富久丸百貨店外商部 其の二』(高殿円・著/小学館文庫)

『上流階級 富久丸百貨店外商部 其の二』(高殿円・著/小学館文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

ドラマ化ヒット小説続編、待望の文庫化!


 高卒からのたたき上げ、敏腕プランナー鮫島静緒(38)が、富久丸百貨店芦屋川店の外商部で働き始めて早一年が過ぎた。日本一の高級住宅街・芦屋に住む本物のセレブたちにお買い物をしていただくため、静緒は今日も国内外を奔走する。
 登校拒否ぎみの孫を心配する祖母。暴力団幹部の子を妊娠し、手切れを望む愛人。外商部の本格的な立て直しプロジェクトに、バツイチの女をさいなむ男社会の古い体質。そこに同居人である枡家の元彼まで登場。
 そのうえ枡家の母親が、バツイチ独身の静緒に息子との再婚を勧めてきて!?

 

竹内結子斎藤工草刈正雄ら豪華キャストでドラマ化された話題作の続編。『トッカン特別国税徴収官』『政略結婚』などヒット作を次々生み出す著者による究極のハイクラス・エンタメ、続々文庫化! 

帯推薦文は宇垣美里さん。

上流階級 富久丸百貨店外商部 (2) (小学館文庫)

上流階級 富久丸百貨店外商部 (2) (小学館文庫)

 

 其の一を読んで、その面白さにびっくり。 早速、其の二を購入。一気読み。読んでいて改めて感じたのは一日二四時間一年三五六日という時間だけは貧富の差なく与えられるもの。富める人は時間を外商という道具を使って金で買うのだということ。後半のヤクザとの駆け引き、四季子夫人とのやりとり、どちらも緊迫した場面ながら腹の据わった静緒の対応が小気味よい。どうやら高殿円氏は鉱脈を探り当てたらしい。二巻で終わるのはもったいない。続編希望。

 特に印象的だった一節があったので引いておく。

いったいだれが、愛情だけが人間を結びつける接着剤だと言い出したのだろう。よく考えてみれば歴史上、恋愛感情を優先させる結婚が条件によるそれを上回った時代はここ二十年ほどでしかないのに。

 慧眼なり。昨今の恋愛至上主義に疑念を呈す方がこのところちらほら出てこられたように思います。