佐々陽太朗の日記

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『錆びた滑車』(若竹七海・著/文春文庫)

『錆びた滑車』(若竹七海・著/文春文庫)を読みました。「葉村晶シリーズ」文春文庫のものではシリーズ第五弾。他社ものを含めればシリーズ第七弾ということになる。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

【仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ】


 葉村晶は、吉祥寺のミステリ専門書店のアルバイト店員をしながら、本屋の二階を事務所にしている〈白熊探偵社〉の調査員として働いている。付き合いのある〈東都総合リサーチ〉の桜井からの下請け仕事で、石和梅子という老女を尾行したところ、梅子と木造の古いアパート〈ブルーレイク・フラット〉の住人・青沼ミツエの喧嘩に巻き込まれ、怪我を負ってしまう。住み慣れた調布市のシェアハウスを建て替えのため引っ越さなくてはならなくなった葉村は、青沼ミツエの申し出で〈ブルーレイク・フラット〉に移り住むことになるが、そこでは思いもかけぬサバイバル生活が待っていた。ミツエの孫・ヒロトと父の光貴は八ヶ月前に交通事故に会い、光貴は死に、生き残ったヒロトも重傷を負った。事故の前後の記憶をなくしたヒロトは、なぜ自分がその場所に父といたのか調べてほしいと晶に頼む。その数日後、〈ブルーレイク・フラット〉は火事になり、ミツエとヒロトは死んでしまう……。
解説・戸川安宣

前作「静かな炎天」は文庫書き下ろしながら、「このミス」2位とミステリランキングでも好調、「読書芸人」のカズレーザーや、のん(能年玲奈)も絶賛など、話題になりました。

【2018年12月追記】「このミス」3位、「週刊文春」6位、「ミステリが読みたい」5位にランクインしました!

 

 

錆びた滑車 (文春文庫)

錆びた滑車 (文春文庫)

 

 

 

 書き出しの文章にしびれた。ハードボイルドはこうでなくっちゃ。その一文に「青沼ヒロトと出会い、一つ屋根の下で暮らした」とあった。これまで浮いた話がなかった葉村晶にもついに艶っぽい話が・・・と思ったら、やはり不憫な女探偵なのであった。まことにお気の毒。不運すぎる女探偵は40代になってもがんばっている。このシリーズの次作『不穏な眠り』は昨年暮れに上梓されており話題となっているが、葉村晶の年齢やはり40代のようだ。満身創痍の40代女探偵。大変ですなぁ、お疲れ様です。しかし、私はもっともっと葉村晶シリーズを読み続けたい。かわいそうだが、若竹さん、もっともっと葉村晶をこき使ってやってください。