佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『活版印刷三日月堂 雲の日記帳』(ほしおさなえ:著/ポプラ文庫)

活版印刷日月堂 雲の日記帳』(ほしおさなえ:著/ポプラ文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

小さな活版印刷所「三日月堂」。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった言葉。仕事を続ける中で、弓子が見つけた「自分の想い」と、「三日月堂の夢」とは――。感動の涙が止まらない、大人気シリーズ完結編!
 

 

活版印刷三日月堂 雲の日記帳 (ポプラ文庫)

活版印刷三日月堂 雲の日記帳 (ポプラ文庫)

 

 

 

 三日月堂シリーズも数えて第4弾。いよいよ完結編。

 印刷するということ。それは言葉を残すということ。言葉は文字となったとたん、書き手の手を離れ旅に出る。本とは不思議なもの。思いが綴られているのに、手紙のように決まった相手に送るのではない。たくさん刷って世界に差し出される。どのような行き先はどこか、どのような旅になるかは分からない。書き手の思いが本というかたちになり、たんぽぽの綿毛のように世界に飛んでいく。本書を読んで詩人・山村暮鳥が『雲』に託した思いを受け止めた今、できることならば私も死に臨んでは「死もまた生きる道程のひとつ」ととらえ、死を丸ごと味わい、噛みしめながら死んでゆきたい。それこそが死にざまであり、生きざまであろうから。

 さて、手元にはまだ三日月堂シリーズの本が二冊残っている。番外編である。シリーズが終わってしまうのは残念だけれど、もう少し楽しませていただこう。