佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『へうげもの 十一服』(山田芳裕・作/講談社文庫)

へうげもの 十一服』(山田芳裕・作/講談社文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

天下分け目の関ヶ原、最終決戦迫る。己が臓で煮え返る熱き白汐を放ちたい。不安と恍惚でたぎり立つリビドーと必死に闘う家康。決死のへうげ戦法で武功に疾る織部。絶望のただ中で数奇に目覚める石田三成。男たちの激しい業が生死の狭間で爆発。週刊「モーニング」連載中の大河漫画、大混戦文庫版第11弾。

 

へうげもの 十一服 (講談社文庫)

へうげもの 十一服 (講談社文庫)

  • 作者:山田 芳裕
  • 発売日: 2016/10/14
  • メディア: 文庫
 

 

 

 三成の最期にしびれた。斬首される前に白湯を所望し、白湯など無い、干し柿ならあるといわれ、「干し柿は痰の毒ぞ」と言ったエピソード。おそらくこれは三成を蔑んだ作り話だろう。しかし、もしこれが本当だったとしたら「大望を抱く者は、たとえ首をはねられる間際まででも命を惜しむもの」という心だったと信じたい。『へうげもの』は戦国の勇ましい武将をヒーローとして描くのではなく、「美」や「数寄」にスポットライトを当て、織部や利休の視線であの時代を描いたところに独創があるのだ。その意味でもう一人注目すべきは三成なのだ。体育会系バカはあくまで脇役である。と、まあ、三成愛が過ぎて偏向したレビューになってしまった。さて、最終巻・十二服に進み、織部が徳川の世をいかに生きたかを読むとしよう。