『鴨川食堂もてなし』(柏井壽:著/小学館文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。
料理雑誌に掲載されている、「食捜します」の一行広告。食にまつわる心に秘めた想いを胸に、依頼人がたどり着くのは、京都にある看板のない食堂。店主の鴨川流と娘のこいしが、再現された思い出の料理で温かく迎えます。認知症の父が母と一緒に食べたというビフテキ、幼馴染みの母親が作ってくれた春巻、後悔が詰まったチキンライス、亡き夫が食べたがっていた五目焼きそば、料理人を目指す原点になったハムカツ、料理をしない父がめずらしく作ってくれたちらし寿し…。悩むことがあれば、ぜひ当店へお越しください。京都発、大人気美味しいミステリー第七弾!
人が生きていれば間違ったことをしてしまうこともある。そのときはそれが間違いと知らずに。そうしたい、そうしてあげたいと思っても叶わなかったこともある。後になって分かった深い思いやり、後戻りできない後悔、現世で会うことが叶わないもどかしさ、そうしたつらさは心の温かさの裏がえしでもある。
切なさ、哀しみもまた、人が前向きに生きようとするとき人生の味わいに変わる。
今日はこの本を電車の中で読んだ。快速から新快速に乗り換える機会があったが、そのまま快速に乗ったままにした。少しでも長くこの本を読んでいたかったからである。
いつまでも続いて欲しいシリーズです。
作中、登場した店、酒、食べものでチェックすべきものを覚え書きしておく。
- ビフテキ スケロク
金閣寺近くのステーキ屋。昔から変わらぬ味。 - 甲州ドライ
シャトー酒折ワイナリーの辛口ワイン - 越後屋多齢堂
千本今出川にある菓子店。カステラ。 - 亀屋陸奥
下京区西中筋町の菓子店。「松風」という和風カステラ。 - 鏡山 純米酒
埼玉県・小江戸鏡山酒造。 - 小樽の五目焼きそば
作中では『八番館』『三菜飯店』となっているが、『●●番菜館』と『●香飯店』ではないかと推定している。知らんけど。 - 『むかしの味』(池波正太郎:著)
作中『むかしからの味』(池本幸太郎)となっているが、これしかないでしょう。 - 秀鳳 純米酒 つや姫
山形県・有限会社秀鳳酒造場。作中「秀鳳」としか紹介されていないが、酒米からこれだろうと推定。