佐々陽太朗の日記

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『黒と白のはざま』(ロバート・ベイリー:著/吉野弘人:訳/小学館文庫)

『黒と白のはざま』(ロバート・ベイリー:著/吉野弘人:訳/小学館文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

 話題の胸アツ法廷エンタメ小説、待望の続編

クー・クラックス・クラン誕生の地、テネシー州プラスキ。幼い日、目の前で彼らに父を殺された黒人弁護士ボーは、45年後の父の命日に復讐殺人の疑いで逮捕された。親友の冤罪を晴らすべく、70歳のロースクールの元教授トムと熱血漢の教え子リックの老若弁護士コンビが法廷に立つ。あまりにも不利な状況の中、「負け知らず」の女性検事を相手に二人の反撃が始まるがーー。胸アツエンタテインメント『ザ・プロフェッサー』の続編が、大好評にお応えして登場です。解説は、前作読了後に「出版してくれてありがとう。続編もぜひ出して下さい!」と直接編集部にラブコールを下さった、落語家の林家正蔵さんです。

 

 

 

 

『ザ・プロフェッサー』で衝撃的なデビューを遂げたロバート・ベイリーの第二作。主人公は前作同様ロースクルールの元教授トム(70歳)とその教え子リックの老若コンビ。大人気を博したデビュー作の続編として書かれた。当然、前作で脇役ながら異彩を放ったボーセフェス・ヘインズ(通称ボー)も登場する。というより、今作ではこのボーが殺人罪で逮捕起訴され、その無実を晴らすべくトムとリックがボーの故郷へ駆けつけるという展開である。
 この老若弁護士コンビの法廷サスペンスがシリーズ化されるのは当然だろう。邪悪な者の企みに正義が押しつぶされそうになっているのを、トムとリックの熱い想いと粘りと知恵によって大逆転する展開に読者は惜しみない拍手大喝采をおくるにちがいないのだ。そのサスペンスとしてのストーリーの面白さだけでなく、このシリーズにはなにかしら読者の心に火をつけるものがあると思う。おそらくそれは人として高みにある者どうしがだけが持つことができる信頼と尊敬だろう。それはどんな状況にあっても恐れを克服し、困難にへこたれず立ち向かい、やるべきことをやってきた者だけが持ち得る精神の高みである。「英雄、英雄を知る」とはまさにこのことだろう。

 前作ではサスペンス中心だったが、今作ではミステリー要素が加わってさらに面白くなっている。
 本シリーズはアメリカ本国で既に第四作までされている由。小学館には第三作、第四作の発売を急いでいただきたい。どうかお願いします。

                     2020/07/11 小樽港へ向かう船中にて