『ヴァラエティ variety』(奥田英朗:著/講談社文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。
夫婦での帰省中、なぜか車にヒッチハイカーを乗せる妻。乗った男が失礼で腹を立てる夫だが、妻は今度は見知らぬ老婆を乗せて…(「ドライブ・イン・サマー」)。娘が外泊したいと言い出した。きっと彼氏とだ。母はどうするべきなのか(「セブンティーン」)ほか、微妙な空気を絶妙に描き出す、名手の貴重な作品集!
迷惑、顰蹙、無理難題。人生、困ってからが面白い! 奥田英朗の蔵出し短編集! 貴重な対談2本も収録。
- 作者:奥田 英朗
- 発売日: 2019/09/13
- メディア: 文庫
7つの短編と2本の対談がまとめられた一冊。題名の「ヴァラエティ」はそうした意味だろう。あとがきに書いてあったのだが、本書の成り立ちは各社に散らばって眠っていた短編を講談社の編集担当者がもったいないからと骨を折って一冊にまとめたらしい。なんとなくまとまりがないなという気がしたのも頷ける。まとまりはなくても、各編はさすがに奥田氏のもの。人の心、人情の機微が巧みに描かれ、ユーモアに少しの毒を含ませる。読んでいて楽しい。