佐々陽太朗の日記

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『柳生刺客状(新装版)』(隆慶一郎:著/講談社文庫)

柳生刺客状(新装版)』(隆慶一郎:著/講談社文庫)を読みました。この新装版のカバー装画は卯月みゆき先生の手に成るもの。時代がかった渋さがカッコイイ。

 

 まずは出版社の紹介文を引きます。

関ヶ原の合戦徳川家康は死んでいた!影武者だった世良田二郎三郎が家康を演じるも、秘事を知った柳生宗矩は、対立する二代将軍秀忠にいち早く情報を伝える。代表作『影武者徳川家康』とは異なり、柳生と二郎三郎の暗闘を宗矩の視点で描いた外伝的作品の表題作ほか、最後の短編などを収録した傑作短編集。

 

新装版 柳生刺客状 (講談社文庫)

新装版 柳生刺客状 (講談社文庫)

  • 作者:隆 慶一郎
  • 発売日: 2014/01/15
  • メディア: 文庫
 

 

 

 久しぶりの隆慶一郎氏。

柳生刺客状」 「張りの吉原」 「狼の眼」 「銚子湊慕情」 「死出の雪」の五編が収められた短編集。そのうち「銚子湊慕情」は未完作で、壮大な長編作を構想した書き下ろし作品の冒頭の30枚だという。『死ぬことと見つけたり』を読んだときと同じく、もう続きを読むことが叶わない悔しくも切ない思いに身もだえました。  

jhon-wells.hatenablog.com

 

柳生刺客状」は関ヶ原の決戦前に徳川家康が暗殺され、影武者である世良田二郎三郎が家康になりすまし続けるという設定。そういえば隆氏の代表作『影武者徳川家康』を私は未だ読んでいないではないか。うかつであった。これは読まねばならぬな。

「張りの吉原」は隆氏の小説家デビュー作にして名作の『吉原御免状』の系譜を継ぐ作品。剣劇ものではなく なんとも艶っぽい話であった。濡れ場も決して下卑に流れることなく、剣戟なみに張り詰めた読み応えがある。

「狼の眼」 「死出の雪」は隆氏らしい剣豪ものの佳作。

 隆氏の小説は「男がほんとうの男であった時代、女がほんとうの女であった時代」の美学を見事に描く。そこには善人にせよ悪人にせよ、あるいは正か邪かにかかわらずカッコイイ「生きざま」があり「死にざま」がある。