佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

豊岡の夜の記憶は蘇らぬ、しかしコウノトリはしっかりと蘇っていた

2020/11/20~21

 豊岡に宿泊。なぜ豊岡か。「酒楽Bar 呑米」 という店の一周年記念行事として開催される「日本酒の会」に参加するためである。地元但馬の香住鶴酒造、岡山寄島の嘉美心酒造、福島の栄川酒造、以上三蔵が厳選した酒を飲ませてくれるという。酒はひとりあたり8合ほどは用意されているという。すばらしい企画である。店で開催されるので人数は限定される。私は「酒楽Bar 呑米」 を知らない。蛇の道は蛇。のんべえの道は何とかだ。厳選された(?)ひとりに潜り込むことが出来た。

 私の注目は嘉美心酒造である。この蔵は酒本来の甘みを大切にする蔵だと思っている。酒呑みによくあるのは辛口偏向。「ベタベタ甘い酒なんぞ飲めねぇぜ!」などと粋がっているヤツだ。バカである。焼酎でも飲んでいなさいと言いたい。チャキチャキの娘にも、はんなり柔らかい娘にもそれぞれの良さがあるように。十七八の娘にも、二十七八の若妻にも、三十七八の・・・ちょっとしつこいか。まあ、とにかくものの味わいには様々な彩りと深みがあるのであって、それをひとつに狭めてしまうような浅ましい輩とはいっしょに飲みたくない。そんなヤツとはきっと小説や音楽や映画の話も弾まないのだ。それこそ偏見ではないかとお叱りを受けそうだが、そうです、私もまだまだ修行が足りません。すまぬことです。

 とにかく私はずいぶん前から嘉美心酒造を応援している。『冬の月』も取り寄せて飲んできた。その嘉美心酒造の酒のラインナップを見て驚いた。『神心』となっているではないか。聞けば創業100年を機に立ち上げた新ブランドだという。蔵元直販は行っておらず、このあたりでは特約店「沢田商店」だけが取り扱っているという。なるほど目にしたことがないのも道理である。もう一つ目を引いたのは白い四合瓶。平成22BYの大吟醸だという。もう蔵にも数本しか残っていないのだとか。希少だからうまいというわけではないが、やはりそれを飲めるのはひとつの歓びである。10年間の熟成というからひねた風味があるかと思いきや、案外のスッキリ感。大切に大切に育てられた箱入り娘が上品に年を重ね、相変わらず楚々として三十七八の女盛りをむかえたといったところか。いかんいかん。こういう表現をしているとジェンダーにうるさいお方からお叱りをうけてしまう。すまぬ、すまぬ。

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 とにかくよく飲んだ、のだろう。ここからの記憶は忘却のかなたに。写真の記録が残るのみ。”Rebon” という店に行きワインを飲んでおるな。なに? カレーを食べたのか。財布はさほど軽くなっていないが、札の数からして金は払ったらしい。安く飲ませてくれる店だったのだろう。

 翌朝の目覚めはスッキリ爽快であった。酒が良ければ次の日に残ることはない。おまけにカレーでウコンを摂取している。完全復活である。完全復活ではあるが、ダメ押しに朝食はカレーにした。「豊岡グリーンホテルモーリス」の朝食バイキングには朝カレーがあるのだ。豊岡の街中を歩いてみると、昼間は山陰特有のうす暗い町が夜になるとあちこちに居酒屋のあかりが浮かび上がる。なかなか居酒屋天国なのだ。とうぜんホテルもウコン対応になるということか。すばらしいではないか。

 午前中はラムサール条約登録湿地を巡ってみた。まずは円山川河口近くの田結湿地。山間の田を休耕しコウノトリの棲息に適した湿地として維持している。おそらく春になればオタマジャクシやドジョウの姿を見ることが出来るのだろう。残念ながらここではコウノトリの姿を見ることが出来なかった。

 続いては戸島湿地。向かう途中の田にコウノトリの姿を見ることが出来た。戸島湿地では係の方からコウノトリの繁殖状況と目撃情報など説明いただいた。雨が降ってきたので湿地内を見て回ることはせず、施設向かいにある喫茶店「カフェ ランプ アイ」に入った。古民家を改装した静かであたたかい店内。窓から庭を眺めると雨だれが見える。そういえば最近、雨だれを見ることが少なくなった。大抵の建物に樋があるからだ。暖かい部屋から、透明なガラス越しにぽたりぽたりと落ちる雨だれを見ると心が安らぐ。ひとりであれば本を読んで2~3時間ゆっくりしたいところだ。冬になればつららも垂れ下がるに違いない。もう一度来てみたいものだ。

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 家に帰る途中、養父から朝来に抜ける道すがら、「つぼ茶屋」という食堂を見かけた。昔ながらの食堂という佇まいが好ましい。入ってみた。予想どおり丼物、うどん、そば、カレーライス、焼きめしなど何でもござれの食堂だ。私はこういう食堂が好きなのです。温かい汁物が欲しかったので鍋焼きうどんを注文した。正解であった。熱いうどんをハフハフ言いながら食べた。具だくさんで満腹感もMAX。またサイクリング途中に立ち寄ろうとGoogleマップに印を付けておいた。

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