佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ 扉子と空白の時』(三上延:著/メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ 扉子と空白の時』(三上延:著/メディアワークス文庫)を読みました。まだ他に読みかけの本がありますけれど、今年2020年の読了本ラストはおそらくこれになると思います。今年の読み始めが「活版印刷日月堂」シリーズ、読み納めが「ビブリア古書堂」シリーズと、やはり今年も本から離れることはなかった。

 出版社の紹介文を引きます。

シリーズ累計700万部の人気古書ミステリ、最新作は丸ごと「横溝正史」!

ビブリア古書堂に舞い込んだ新たな相談事。それは、この世に存在していないはずの本――横溝正史の幻の作品が何者かに盗まれたという奇妙なものだった。
どこか様子がおかしい女店主と訪れたのは、元華族に連なる旧家の邸宅。老いた女主の死をきっかけに忽然と消えた古書。その謎に迫るうち、半世紀以上絡み合う一家の因縁が浮かび上がる。
深まる疑念と迷宮入りする事件。ほどけなかった糸は、長い時を超え、やがて事の真相を紡ぎ始める――。

 

 

 子どもの頃、面白い本を読みかけたときのワクワク感を思い出してなんだかジーンときた。私は親戚の家に行っても、皆と話したりせず、ずうっと本を読んでいる子だった。その家にジュール・ヴェルヌのSFシリーズなんかがあるともう羨ましくて胸をかきむしったものだ。もし子どもの頃の私が横溝正史の『少年少女 名探偵 金田一耕助シリーズ』なんてものに出会っていたら、後ろ髪を引かれる思いで親戚の家を後にしたはずだ。その家の子になりたいとすら考えたかもしれない。栞子さんや扉子の足下にも及ばないが、私も本の魅力に取りつかれた人間であることに違いない。このビョーキは治らない。というより治したくないビョーキだ。