佐々陽太朗の日記

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『エンダーのゲーム』(オースン・スコット・カード:著/野口幸夫:訳/ハヤカワ文庫SF)

『エンダーのゲーム』(オースン・スコット・カード:著/野口幸夫:訳/ハヤカワ文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

地球は恐るべきバガーの二度にわたる侵攻をかろうじて撃退した。容赦なく人々を殺戮し、地球人の呼びかけにまったく答えようとしない昆虫型異星人バガー。その第三次攻撃に備え、優秀な艦隊指揮官を育成すべく、バトル・スクールは設立された。そこで、コンピュータ・ゲームから無重力訓練エリアでの模擬戦闘まで、あらゆる訓練で最高の成績をおさめた天才少年エンダーの成長を描いた、ヒューゴー、ネビュラ両賞受賞作!

 

 

 久しぶりのSF。私好みの作品でした。

 本作の原型となった短編は1977年に発表された。それが長編化されて本作が出版されたのが1985年のこと。1985年当時といえば、WindowsのVer.1.01が発表されたばかり。その時代に来るべきネット社会、コンピュータ・シミュレーター・ゲームの世界を描いたのは見事。かなり正確な予見だ。私なんぞ、そのころはPC-9800シリーズでMS-DOSを使っていたのではなかったか。当然、PC画面にはDOSプロンプトが点滅し、コマンドを入力してなにがしかのソフトを立ち上げていた。今から見れば幼稚なコンピュータだった。

 もう一つ、通信手段はおろか言葉も持たず、全員が同時にすべてを認識してしまう異性生命体・バガーをつくり出した独創性がすごい。よくもまぁ、こんなことを思いついたものだ。

 いちばんすばらしいと思うのは、この作品にはエリートとは何か、リーダーの資質とは、リーダーの責任と覚悟、そうしたことが物語全体を通じて語られているところ。示唆に富んでおり考えさせられる。

 すばらしいSF作品としてお薦めしたいが、訳が酷い。訳者:野口幸夫氏は意図的に直訳にこだわったようだが、これが読みにくいことこの上ない。新訳が出ているそうなので、そちらをお薦めする。いや、新訳版を読んだわけではないので、確かなことは言えないけれど。

 映画にもなったようなので、そちらも観てみようと思う。

 

 

 

 

 

エンダーのゲーム DVD

エンダーのゲーム DVD

  • 発売日: 2015/02/18
  • メディア: DVD