佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2021年3月の読書メーター

3月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1696
ナイス数:940

 

 3月に読んだ本の中では何と言っても『水神』(帚木蓬生)が印象に残った。水不足に悩む土地の民を救うべく大規模の灌漑事業に乗り出す五庄屋の姿がペシャワール会の故・中村哲氏の姿に重なり、ずんと魂を揺さぶられた。


生きるとか死ぬとか父親とか (新潮文庫)生きるとか死ぬとか父親とか (新潮文庫)感想
読んでいてスーさんの複雑な心の襞がしみじみ伝わってきた。父親に対する突き放したようなもの言い、ドライな態度は彼女の優しさ、いたわりだろう。年老いていく父親に優しいまなざしを投げかけながら、鋭いツッコミを入れるところは「私にこんなことをさせないで、いつまでも強くいてよ、まったくもう! なんてざまなの!」と舌打ちする彼女が目に浮かぶようだ。できれば彼女は今もお父さんの子どものままでいたいのだろう。彼女が父親に対し持つ「私に簡単に超えさせるんじゃないわよ」という気持ちが切なくてなんとも温かい。
読了日:03月27日 著者:ジェーン・スー


文脈力こそが知性である (角川新書)文脈力こそが知性である (角川新書)感想
語彙力こそが教養である。しかしその語彙力も文脈のあるアウトプットに活かされてこそ知性として表出される。つまり文脈力こそが知性である。ということは「頭がいい」とは文脈力である。人生をより豊かに味わい深いものにし、幸せに生きるためにいかに文脈力に磨きをかけるか。それを指南してくれる本です。語彙をどのようにしてその場にあった文脈にするか。それが出来るようになるためにどのように準備すべきか。どうしたらその力がつくか。齋藤氏が経験と考察から得たノウハウを余すところなく教示していただいた。いい勉強になりました。
読了日:03月23日 著者:齋藤 孝


水神(下) (新潮文庫)水神(下) (新潮文庫)感想
切腹もいろいろある。罪をかぶる。我が身の潔白を証明するため。喧嘩両成敗。主君の後を追う追腹。家臣たちの命を救うために主君が腹を切る。五つ目の死の重みがズシリと腹にこたえた。外国人には理解できない心情かもしれない。世の不条理に耐え、その不条理を受け入れたうえで飲み込んでしまう。命と引き換えに一切の邪推、誹謗中傷の類いを寄せ付けない完璧な結末を得るとは、なんという孤高か。菊竹源三衛門は架空の人物だろう。帚木氏は史実である五庄屋の物語に、このフィクションを織り込むことでこの国にある美しい心を見事に描ききった。
読了日:03月20日 著者:帚木 蓬生


水神(上) (新潮文庫)水神(上) (新潮文庫)感想
知人の推薦本。帚木蓬生氏の本は初。なんの予備知識も持たずに読み始めたが、すぐに物語に引き込まれた。ここには真心がある。飢えや貧困ゆえの苦しみ、悲しみ、絶望。それでも生きよう、自分の役割を全うしようとする強い心がある。そしてそんな民に人間らしい生活と救いをと立ち上がった五庄屋の姿に心が震えた。上巻だけで何度も涙した。読んでいる間、ずっとアフガニスタンで非業の死をとげた中村哲氏のことが頭にあった。さて下巻を読もう。
読了日:03月18日 著者:帚木 蓬生


あつあつを召し上がれ (新潮文庫)あつあつを召し上がれ (新潮文庫)感想
食堂かたつむり』を読んだ時と同じ感覚に囚われた。ある種の違和感というか、気持ちの悪さというか、見たくないものを見せられたような感覚。「バーバのかき氷」(☆☆)、「親父のぶたばら飯」(☆☆☆)、「さよなら松茸」(☆☆☆☆)、「こーちゃんのおみそ汁」(☆☆☆☆☆)とだんだん良くなっていたのに、「ポルクの晩餐」で評価ゼロ、いやむしろマイナス。最後の「季節はずれのきりたんぽ」は一応読んだが、もうどうでも良くなっていた。コース料理を食べていて、中の一品がどうにも口に合わなくて、食欲がなくなってしまった感じだ。
読了日:03月14日 著者:小川 糸


よつばと!(15) (電撃コミックス)よつばと!(15) (電撃コミックス)感想
絵の具を買ってほしさに土下座するよつば。土下座はあさぎに習ったそうな。これこれ、あさぎよ、五才の子どもに何をする! よつばもこの春、いよいよ小学生か。私も孫にランドセルを買ってやる僥倖に恵まれたいものだ。明日は「せかいいちおいしいバナナジュース」を作ってみよう。おぉ、そうだ! ミロも買いに行かねば。
読了日:03月03日 著者:あずま きよひこ


1分間だけ伸ばせばいい 2つの筋肉を伸ばして体の悩みを改善1分間だけ伸ばせばいい 2つの筋肉を伸ばして体の悩みを改善感想
2015年のラグビーワールドカップ日本代表のアスレチックトレーナーを務められた佐藤氏のメソッド。動かなくなった「多裂筋」と「足指の伸筋群」を動かす2つのストレッチを繰り返すだけで正しい姿勢を取り戻す事が出来るというのが本書の勘所。本当ならば佐藤氏は神様です。まずは2つの基本ストレッチを愚直にやってみて効果を確かめたい。最初からあれこれやろうとしても、面倒くさいとやめてしまうのが私です。己の愚かさを知り、「神の手」メソッドの助けを借りればあるいは・・・。
読了日:03月02日 著者:佐藤義人

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