2021/04/29
『よいこの君主論』(架神恭介+辰巳一世:著/ちくま文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。
マキャベリの名著『君主論』を武器にクラス制覇へと乗り出した小学五年生のひろしくん。だが、彼の前に権力への野望を持つ恐るべき子供たちが立ち塞がる。『君主論』はひろしくんを覇王へと導くことができるのか? 小学生の権力闘争を舞台に楽しく学べる『君主論』。クラスを牛耳りたい良い子のみんなも、お子様に帝王学を学ばせたい保護者の方も、国家元首を目指す不敵なあなたも必読の一冊。
『君主論』はいずれ読みたい、いや、読まねばならないと思っていた。しかし私は頭が さほどよろしくない。難しい本を読むより、平易に読めるもので論の精髄を知ることができれば如くは無し。然る後にマキアヴェリの『君主論』そものの翻訳を読めばより理解が進むであろうと本書を手に取った。
凡人は専門的な書物を読むよりも、その道の専門家からレクチャーしてもらったほうが手っ取り早いし、かえって真髄に触れることができるものだ。誤って理解するリスクも避けられよう。聴き手のレベルに合わせて話してもらえるからだ。その意味で子供向けに書かれた本『君主論』は私にとって甚だ有用な書であった。
「ハイエナりょうこ」の異名を取るりょうこちゃんの政略や姦計も怖いが、そうした題材をふくろう先生の講義を受けてマキアヴェリズムをぐんぐん習得していくはなこちゃんが一番怖い。クラス制圧を目論む彼女にとって、他のクラスメートは愚民どもでしかない。怖い。怖いけれど笑える。
さて、いよいよ『君主論』の翻訳を読む下地は出来た。『君主論 新版』(マキアヴェリ:著/池田廉:訳/中公文庫)を読むこととしよう。