佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2021年4月の読書メーター

4月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1710
ナイス数:833

 

 4月は緊急事態宣言発令で家に引きこもっていたが、中旬にまとまった用事があり本を読まなかったので冊数は7に終わった。ただ「ぼろ鳶組」シリーズ、「任侠」シリーズと愉しみにしているシリーズ最新刊が読めたことは僥倖であった。

襲大鳳(上) 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)襲大鳳(上) 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)感想
18年前、父を喪った大火の亡霊が今になって・・・。源吾はもうあのときのように血気にはやり突っ走るだけの男ではない。亡き父の背中が見えてきている。18年前の大学火事の謎は解き明かされるのだろうか。そして源吾に父のほんとうの心が判るのか。下巻が楽しみだ。
読了日:04月01日 著者:今村翔吾


襲大鳳(下) 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)襲大鳳(下) 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)感想
「英雄、英雄を知る」とは確か吉川英治の『三国志』だったか。蝗の秋仁(町火消よ組・頭)、九紋龍の辰一(町火消に組・頭)、縞天狗の漣次(町火消い組・頭)、八咫烏の大音勘九郎加賀藩火消<加賀鳶>・頭取)、菩薩の進藤内記(八重洲河岸定火消・頭取)、そして火喰鳥、松永源吾(新庄藩火消<羽州ぼろ鳶組>・頭取)。共に青き春を過ごし、火消しの才を花開かせた「黄金(こがね)の世代」だ。焔との戦いは命と男の意地をかけた戦だ。いずれ劣らぬ英傑たちが獅子奮迅の働きを見せる姿に高ぶりを抑えきれず喝采を贈った。
読了日:04月02日 著者:今村翔吾


海潮音―上田敏訳詩集 (新潮文庫)海潮音―上田敏訳詩集 (新潮文庫)感想
大昔に読んだっきりの再読。今回すごく良い詩に気づいた。初めて読んだように感じるのは、以前それほど気を留めなかったのだろう一篇だ。ガブリオレ・ダンヌンチオの『声曲(もののね)』です。「われはきく、よもすがら、わが胸の上に、君眠る時、吾は聴く、・・・・」 人を想い、人を愛するひたむきさと孤独をこれほど表した詩が他にあるだろうか。 ともあれやはりこの詩集の中の一番はやはりブラウニングの『春の朝』でした。どのような春にも、この詩は自然の情景と共に私に寄り添ってくる。それは私に喜びと開放感をもたらしてくれる。
読了日:04月04日 著者:上田 敏

 
隣のずこずこ (新潮文庫)隣のずこずこ (新潮文庫)感想
「町に訪れた日にそこにいた人はすべて丸呑みです。村を壊します。ごめんね」って何という不条理。そんな荒唐無稽な小説があるはずがないと人は思うだろう。そんなアホらしい小説が読めるかとも思うだろう。しかし、グイグイ読ませるのです。彼のカフカだって、朝目覚めたら自分が巨大な毒虫になってしまっていたという小説を書いているではないか。そうか、この小説はカフカの不条理なのか。なんてことを考えそうにもなったが、むしろそんな哲学的な深遠さとは無縁の小説のような気がする。ただ、ここに描かれたアホらしい世界を愉しめば良いのだ。
読了日:04月08日 著者:柿村 将彦


女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと感想
西原氏の娘は思春期のまっただ中でろくに口を利いてくれないらしい。西原氏によると思春期とは「心の中のちっちゃな尾崎豊がわんわか暴れている時期」だそうな。なるほど。私は尾崎豊尾崎豊的なものと尾崎豊が大好きだと言うヤツが大っ嫌いだ。「ちっちゃな尾崎豊」なんぞ真っ平御免。たとえ娘が口を利いてくれても、そんなものを心の中に抱えているヤツと話をするなどとこちらから願い下げである。(笑) 西原氏の自分をさらけ出した本音が小気味良い。
読了日:04月23日 著者:西原 理恵子


任侠浴場 (中公文庫 こ 40-38)任侠浴場 (中公文庫 こ 40-38)感想
待った甲斐がありました。腹が据わっている割に気苦労の絶えない代貸・日村と丸顔で童顔のマル暴刑事・甘糟のキャラが立っているのは相変わらずだ。キャラと言えば組事務所に遊びに来る女子高生・香苗もイイ。すごくイイ。 このシリーズはひと言で云うとヤクザのお仕事小説です。ヤクザが奮闘し活躍するユーモア小説でもあります。しかしヤクザだからといって侮ってはいけません。彼らの行動様式、彼らが吐露する心のうちは大新聞の論説なんぞを読むよりも心に響きます。
読了日:04月25日 著者:今野 敏


よいこの君主論 (ちくま文庫)よいこの君主論 (ちくま文庫)感想
凡人は専門的な書物を読むよりも、その道の専門家からレクチャーしてもらったほうが手っ取り早いし、かえって真髄に触れることができるものだ。誤って理解するリスクも避けられよう。子供向けに書かれた本『君主論』は私にとって甚だ有用な書であった。 「ハイエナりょうこ」の異名を取るりょうこちゃんの政略や姦計も怖いが、そうした題材をふくろう先生の講義を受けてマキアヴェリズムをぐんぐん習得していくはなこちゃんが一番怖い。クラス制圧を目論む彼女にとって、他のクラスメートは愚民どもでしかない。怖い。怖いけれど笑える。
読了日:04月29日 著者:架神 恭介,辰巳 一世

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