佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『鴨川食堂ごちそう』(柏井壽:著/小学館文庫)

『鴨川食堂ごちそう』(柏井壽:著/小学館文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

京都正面通りを歩いていると、どこかから出汁の匂いが漂ってくる。匂いにつられてしもた屋の引き戸を開ければ、そこは鴨川流・こいし親娘が営む食堂だ。思い出の味を捜し出し、食べさせてくれる二人のもとには今日も迷い人が訪れる。息子の死に囚われ続ける父に、お詫びで送られてくる「鰻丼」、家出前日に食べた甘すぎる「いなり寿司」、夫に嘘をついた「ピザ」に、癌を宣告されたときに妻が作った「焼きうどん」。恩師との苦い思い出が詰まった「タマゴサンド」や、妹が最期に食べたいという粗末な「豆腐飯」。よりボリュームアップした、美味しいミステリー第八弾!

 

 

 鴨川食堂シリーズもいつの間にやら第八弾。シリーズ第一弾に出逢ったのはもう6年以上前のことになる。読み終えてすぐ、続編の『鴨川食堂おかわり』を読み、以降、新刊がでるたびに読んできた。

 

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 このところ、馳星周氏の『不夜城』シリーズを読んできた。たいへん愉しめた小説だったのだが、いわゆるノワールで少々心がささくれ立ってきたのも事実。心温まる小説を読みたかったところに丁度本書が上梓された。僥倖なり。

 今作も思い出の味と人情の六話。それぞれおいしく味わわせていただいたが、特に私の舌にあったのは「タマゴサンド」。「親の意見と冷や酒は後に効く」 私にも覚えがある。そういえば、この話の導入部で流が川井太郎に振る舞った汁そばの出汁は何だったのだろう。「カツオ出汁の香りは無く、ショウガらしき匂いがする。醤油は使っているが、どちらかというと塩味が勝っており、ほのかに日本酒の香りがする。汁に細かな身らしきものが混ざっている」という情報から、果たしてどんな出汁を引いたのだろうとあれこれ考えたが未だ答に至らない。少々悶々としている。