2021/06/30
映画『ぼくの伯父さん』(1958年フランス)を観た。
ほのぼのゆる~い人柄の主人公ユロの日常をコメディータッチでスケッチした映画。
ユロの妹夫婦(旦那は工場経営者)が建てたスタイリッシュで機械化した家での場面が多く出てくるのだが、妹夫婦がブルジョア然とした見栄を張ってはいるが実は小者であるところ、デザインに凝った庭が見た目重視の為にいちいち不便なところ、機械で自動化した便利が実は不自由だったりするところなど、何でも近代化し新しさを気取り、格好をつけ、古き良きもの、人間らしい温かみやゆとりを見失っていくことへの風刺が笑える。
例えば妹夫婦邸に来客があると、まずは普段は止めている庭の噴水のスイッチを入れてから門の扉を開け客を招き入れる。普段は噴水を稼働させないケチくさいところ、でも人には噴水のある家を演出したいええかっこしいなところを少し小馬鹿にしつつ、しかしあくまでも温かい目でユーモラスに描く。そんなところがこの映画の良いところ。