佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ:著/文藝春秋社)

2021/10/14

『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ:著/文藝春秋社)を読んだ。

 まずは出版社の紹介文を引く。

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。
その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない〝父〟と暮らす。
血の繋がらない親の間をリレーされながらも、出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき――。
大絶賛の2019年本屋大賞受賞作。

 

 

 

 幸せってヤツは一生懸命掴もうとしてもするりと手をすり抜ける。懸命に追いかけても、どんどん遠くに去ってしまう。そうしたものだ。けれどいつもまわりの人を思いやり大切にしていれば、いつしか向こうの方からやって来て寄り添ってくれる。この本を読み終えた今、私はそう信じることができる。

 子どもを育てることはけっして厄介ごとではない。「自分より大事なものがあるのは幸せだし、自分のためにはできないことも子どものためならできる」森宮さんのこの言葉は、子どもを愛する数多の親に共通する心の声だろう。この小説には確かな幸せがある。