佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

コーラで肉じゃが

2021/11/28

 本日の厨房男子。

 つれ合いは知り合いと外でランチだそう。二時間も三時間もテーブルに居座っておしゃべりに耽るのだろう。車で出かけたので酒は飲まないはず。酒も飲まずによくもまあそんなにしゃべれるなと感心する。

 こちらは静かな独り飯。音はと言えば、”Amazon Music”でボサノバを聴いている。音の傾向からすると昼メシは洋食系なのだろう。ところがどっこい私は天邪鬼なのだ。無理矢理にでも和風にしてやると決めた。あり合わせの材料を検討した結果、じゃがいも、玉ねぎ、人参、豚肉細切れ、コーラを使って肉じゃがを作ることにした。ふつうの肉じゃがでもよいのだが、たまたま飲むことはないであろうコーラが冷蔵庫にあったので使ってみた。

 煮ている間はコーラの香りがしっかりとただよっていたが、煮上がりには微かに風味が残っているだけであった。砂糖は足さずみりんと醤油を少々使っただけだが、甘みはしっかりついている。味はまずまず。肉じゃがを作るためにわざわざコーラを使うほどではないが、普段と違う風味の肉じゃがはなかなか乙なものであった。

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 他には「大根の煮物桜えびのあんかけ」「紅芯大根の酢漬け」。子どもの頃、大根がとれる時期になると母がよく大根の煮物を作っていた。醤油ベースのダシが良くしみ込んだものだったが、たいてい干し海老と一緒に煮てあった。その味と同じではないが桜えびの餡をかけることで旨味と風味が加わった。紅芯大根は先日、和久傳ノ森を訪れた時に100円で買ったものを酢漬けにしたもの。もともときれいな紅色だが、酢に漬けると紅がさらに鮮やかになった。

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 最後は大根の煮物の餡をすべてご飯にかけていただく。行儀が悪いかもしれないが、せっかくおいしい餡がもったいないではないか。あるタレントさんが結婚相手との食事に実のお母さんを呼んで一緒に食べたときの話を思い出す。そのときは高級中華料理店だったそうで、酢豚がものすごくおいしかったそうだ。その方のお母さんは、おいしいねぇと皿に残った酢豚の野菜と餡をご飯にかけて召し上がったのだとか。そのタレントさんの夫はあとで「君のお母さんは、ごはんに酢豚をかけて食べるんだね」と言ったそうだ。確かに気取った店で、そのような食べ方をするのはみっともなく見えたのだろう。しかし、娘夫婦との食事を本当においしいと喜んで食べて何が悪い。そのタレントさんは、自分のことを言われたのならかまわないが、母親のことをそんなふうに言われたのは一生忘れないと仰っていた。私にもそのときのタレントさんの気持ちが良く分かる。それは私にも似たような経験があるからだ。相手は地位のある方で、私としてはそれなりの恩のある方だったが、今もその時のことを思い出すと感情が激する。詳しくは書かないが、私が仕事上でしたことを「これだから貧乏人の子は・・・」となじったのだ。酒を飲んで正体をなくしてのことだったが、今も私はそのことを許す気にならない。私の両親は働きづめで、高級店で食事をするようなことはない人間だったが、少なくとも人を稼ぎで計るような人間ではなかった。私はそんな両親を誇りに思っている。

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