2022/01/20
米ギャラリー大手前で開催の「本の会」に参加。私は学生時代に『かつをぶしの時代なのだ』エッセイに出会って以来、80冊近くの本を読んできた椎名誠氏の本を紹介。
本日皆さんから紹介された本は以下のとおり。興味深い本ばかりで困ってしまう。全部読むとなると時間の逼迫は火を見るより明らか。まあ、世は緊急事態宣言下である。気の向くまま読んでいくしかあるまい。
- 『始まっている未来 新しい経済学は可能か』(内橋克人・宇沢弘文:著/岩波書店)
内橋克人氏は日本政府が市場原理主義の時流に乗って様々な規制緩和を実施し、マスコミはじめ有名言論人がこぞって片棒担ぎをしていた情況の中で、唯一ハッキリと異を唱えていらっしゃった方という印象がある。大学で時流のフリードマンを学んだ私も当時は大方の意見に流されがちであったが、その後の経緯と結果としての現状を見るに、当時内橋氏が仰っていたことのかなりの部分が正しかったと感じ些か恥じ入っている。シカゴ大学で同僚だったフリードマンと対立し市場原理主義へのアンチテーゼとして社会的共通資本の概念を提唱した宇沢弘文氏との連名の著書とあっては弥が上にも興味をそそられる。私の頭には難しいに違いないが読んでみようと思う。
- 残照の頂 続・山女日記』(湊かなえ:著/幻冬舎)
NHKのドラマにもなった『山女日記』の続編。色んな事情を抱えた人たちが、その思いを噛み締めながら山に登る。
私にとって湊さんはデビュー作『告白』を読んで、その後味の悪さからその後一冊も読んでいない作家さん。しかしお話を聴くに、おだやかな語り口で普通に人生ドラマを書いていらっしゃる由。そろそろ食わず嫌いはやめて湊さんを読んでみる頃合いのようだ。まずは第一弾『山女日記』から読んでみようかと思う。 - 『羊は安らかに草を食み』(宇佐美まこと:著/祥伝社)
認知症になりながらも昔の記憶に悩まされる主人公。心配した親友の二人は主人公を苦しませる過去が何なのかを捜す旅に出かけることにする。果たして三人旅の見つけた過去とは・・・。紹介下さったMさんの「子どものためなら母はそこまで自分に嘘がつけるのか」という言葉がものすごく気になる。ただ「ラストは?????」という言葉もあり、読むか読まぬか迷うところ。
- 『続 日本の小さな本屋さん』(和氣正幸:著/エクスナレッジ)
日本全国の小さいけれどもわざわざ行きたい24の素敵な本屋さんを紹介。パラパラとページを捲ってみると京都の「ホホホ座」と「誠光社」が取り上げられていた。どちらも行ったことがあるが素敵な本屋さんだ。鳥取の「定有堂書店」がない。第一弾に取り上げられているのかもしれない。紹介してあるのはどれも自転車旅の途中に立ち寄りたい本屋ばかり。これは第一弾も含め図書館で借りて、Googleマップに印をつけていかねばなるまい。
- 『美しき日本の残像』(アレックス・カー:著/朝日文庫)
日本の良さが失われつつあることに対する痛烈な批判は日本愛ゆえか。
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版画はもちろんのこと、文章が味わい深い。
- 『その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱』(高橋久美子:著/ミシマ社)
東京で仕事をしながら、地元の畑をメガソーラーにさせないために農業を始めた高橋さんの体験談。立ちはだかる壁の数々。現代の日本が内包する問題があらわに。
- 『Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章(上・下)』(ルトガー・ブレグマン :著/ 野中 香方子:訳/文藝春秋)
人類の歴史を振り返り「人間性悪説」の思考バイアスを正す。特徴的な歴史事例を取り上げていき、帰納的に性善説を主張する。ついつい物事を斜めから見てしまう私は、帰納的に性善説を主張する手法を肯定するならば、帰納的に性悪説を主張するのもありだなぁなどとおバカなことを考えてしまう。しかし私はおバカだから、この本を読めばすぐに性善説に宗旨替えするのだろうな。そんなことでいいのかとおバカな頭で悩んでしまうが、読まなければいつまでもおバカなままなので読んでみようと思う。