佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『キャロリング』(有川浩:著/幻冬舎文庫)

2022/03/14

キャロリング』(有川浩:著/幻冬舎文庫)を読んだ。

 まずは出版社の紹介文を引く。

クリスマスに倒産が決まった子供服メーカーの社員・大和俊介。同僚で元恋人の柊子に秘かな思いを残していた。そんな二人を頼ってきたのは、会社に併設された学童に通う小学生の航平。両親の離婚を止めたいという航平の願いを叶えるため、彼らは別居中の航平の父親を訪ねることに――。逆境でもたらされる、ささやかな奇跡の連鎖を描く感動の物語。

 

 

 

 ほんとうに久しぶりに有川浩さんを読んだ。5年前に『旅猫リポート』を読んで以来のことだ。私は大の有川ファンなので、もう5年も氏の作品を読んでいないとは。自分のことながら意外なことだ。

 本作も有川テイスト満載。軽妙なやりとり。人の心の機微をとらえた人間観察。甘酸っぱい恋心。人の心の奥底にある善なるものへの信奉。過去の作品で何度も読んだものだが、すこしも褪せることなくワクワクさせてくれる。

 世の中には様々な形の不幸がある。その不幸に抗い、幸福を手にするのはなかなか難しい。ましてやそれが子どもならなおさらだ。自分が不幸な情況にあるとき、そのことをどう捉え、どういう姿勢でいるべきかを教えてくれる。

「不幸の比べっこなんてしたって仕方ない」「自分が不幸なら他人に何を言ってもいいと思っているのか」という言葉にあるべき振る舞いを考えさせられた。