佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『これは経費で落ちません! 10 ~経理部の森若さん~』(青木祐子:著/集英社オレンジ文庫)

2023/01/22

『これは経費で落ちません! 10 ~経理部の森若さん~』(青木祐子:著/集英社オレンジ文庫)を読んだ。

 まずは出版社の紹介文を引く。

 天天コーポレーションへの税務調査が始まった。やって来た四人の調査官の対応は経理部の仕事のため、沙名子も気合が入る。調査官たちは想像していたよりも穏健だが、抜け目のない印象。詳細の説明のために呼び出された社員が余計なことを喋りそうになるなど、想定外の事態もあるので緊張は解けない。社交性豊かな営業部員などは特に要注意だ。大きな懸念は、吸収合併したトナカイ化粧品関連だ。合併前のものに関しては経理処理も修正納税も済んでいるはずだが、もしかしたら何か新事実が出てくるかもしれず…?そして先日、沙名子が太陽に言われた「結婚しよう」という言葉。太陽も沙名子も、結婚というものをどう捉えるかに悩み、じれったいままに時間は過ぎていくが…?

 

 

 楽しみに待っていた「これは経費で落ちません!」シリーズ第10弾。昨年末に発売になったのを買い置いていた。このところ政治や思想哲学に関係した本を読んでちょっと疲れたのでサクッと読めて楽しめる本書を手に取った。

 今回は税務調査。会社勤めの経験がある人なら良くわかる大変なシチュエーションである。このシリーズの良いところは会社というある意味ドメスティックで極めて人間くさい世界をうまく描けているところ。大なれ小なれ会社に勤めた経験のある人なら、「あるある!」と膝を叩くことが多いだろう。人生いろいろ、社員もいろいろ、とにかくややこしいのが会社である。徒でさえややこしいのに、最近主人公の沙名子さんは社内恋愛をしている。隠さなくてはならない恋愛ではないが、それはそれ、できればややこしい事態は避けるに如かずと慎重にばれないよう気を遣っている。読者も沙名子さんとその恋人太陽くんの気持ちに寄り添って、ドキドキしつつワクワクもするという不思議な心もちになる。

 いつものように読み始めたら一気読み。あーおもしろかったと本を閉じた。