佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『ウルフムーンの夜 Winter of the Wolf Moon 』(スティーヴ・ハミルトン:著/越前敏弥:訳/ハヤカワ文庫)

『ウルフムーンの夜 Winter of the Wolf Moon 』(スティーヴ・ハミルトン:著/越前敏弥:訳/ハヤカワ文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

私立探偵アレックスのもとに、ドロシーという女が訪ねてきた。暴力的な恋人ブラックマンから逃げる手助けをしてくれという。彼はロッジに泊めるが、翌朝ロッジは荒らされドロシーの姿は消えていた。ブラックマンの仕業か?自責の念に駆られ、アレックスは彼女の行方を追うが、やがて麻薬密売に絡む二重三重の追跡劇の渦中へ!アメリカ探偵作家クラブ賞などトリプル受賞に輝いた『氷の闇を越えて』に続く注目の第2弾。

 

ウルフ・ムーンの夜 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ウルフ・ムーンの夜 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 

 

 私立探偵アレックス・マクナイト・シリーズ第二弾。アレックスは自分は私立探偵をやめたと言い張っているが、助けを求める人を目の前にして放っておくことなどできない。優秀な(?)相棒(?)も現れた。すくなくともこの相棒は「あんぽんたん」などではない。いけ好かない野郎とおもっていたメイヴン署長が案外味のある男だったことにびっくり。今後の展開が楽しみ。シリーズ第三弾『狩りの風よ吹け The Hunting Wind』も読まねばなるまい。

”Wolf Moon”とは一月の満月のこと。アメリカ先住民の名づけた月の名前は部族によって多少違いがあるらしいが、以下のようなものらしい。

1月: Wolf Moon/Old Moon(狼が空腹で遠吠えをする頃)
2月: Snow Moon/Hunger Moon(狩猟が困難になる頃)
3月: Worm Moon/Sap Moon(土から虫が顔を出す頃/メープル樹液が出る頃)
4月: Pink Moon(フロックス/Phlox というピンクの花が咲く頃)
5月: Flower Moon(花が咲く頃)
6月: Strawberry Moon(イチゴが熟す頃)/ Mead Moon(蜂蜜酒の月)
7月: Buck Moon(雄ジカの枝角が伸びきる頃)
8月: Sturgeon Moon(チョウザメが成熟し、漁を始める頃)
9月: Harvest Moon(収穫の頃)/Corn Moon(とうもろこしを採取する頃)
10月: Hunter’s Moon(狩猟を始める頃)
11月: Beaver Moon(毛皮にするビーバーを捕獲するための罠を仕掛ける頃)
12月: Cold Moon(冬の寒さが強まり、夜が長くなる頃)

 

「旅学人」ツアーで宮津と伊根を訪れる

2019/06/22

 

「旅学人」ツアーで宮津と伊根を訪れました。

 茶六別館で大トリ貝岩牡蠣など海の幸の懐石を食し、伊根湾で海猫と戯れました。数日前は雨天だった予報も覆し、相変わらずの晴れ男。”YUI PRIMA”車中ではシャンパンとビール、茶六別館では丹後の地酒をいただき大満足の一日。

 

『背いて故郷』(志水辰夫・著/新潮文庫)

『背いて故郷』(志水辰夫・著/新潮文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

 第六協洋丸、仮想敵国の領海に接近するためのスパイ船。柏木はその仕事を好まず、親友・成瀬に船長の座を譲った。だが成瀬は当直中に殺されてしまう。撮影済みのフィルムを奪われて。禁忌に触れてしまったとでもいうのか?柏木は北の大地を餓狼の如き切実さで駆けめぐった。ただ真相に迫りたかったのだ。彼の前に立ちはだかるのは〈国家〉、そして――。日本推理作家協会賞受賞作。

 

背いて故郷(新潮文庫)

背いて故郷(新潮文庫)

 

 

 

 志水辰夫氏の初期三部作と称される一作。やはりラストの叙情性がたまらない。シミタツ節全開である。主人公が男くさい。というかオッサンくさい。しかも面倒くさい性格でもある。直木賞候補には挙がったらしいが、そのあたりに難があったかと思う。しかし、それにしてもシミタツらしい。好きだなあ。

 

献血10回記念酒杯

2019/06/20

 

 以前から同級生有志で献血活動をしております。明後日に予定していた献血活動に参加できなくなったので、一足先に献血してきました。私の献血回数がちょうど10回になったそうで、記念品をいただきました。記念品がいただけるとは知らずびっくりしましたが、中身が酒杯であったことが意外で驚きました。というのも献血時に「今日は飲酒を控えて下さい」と言われたからです。さてさて、いただいた酒杯で酒を呑むべきか呑まざるべきかと迷いましたが、せっかくいただいたものですから呑むことにいたしました。(^^ゞ

 酒杯はガラスでできており、造形作家の多田美波さんの作。 

 酒は「青乃無」。肴は「ちりめんじゃこおろし」「絹莢の天ぷら」「春雨サラダ」。

辛伍咖喱

2019/06/19

午後から県庁で仕事。

昼ごはんに県公館前にある「パーラー ネムの木」でカレーを食べました。

その名も「辛伍咖喱」。結構スパイシーなカレーです。

しかしコクもしっかりある本格派カレー。

牛すね肉をじっくり煮込んでいるようです。

冷たい自家製甘酒が添えられており、これが口の中の刺激をまろやかにしてくれる。その刹那がうれしい。

 

『如何なる星の下に』(高見順・著/講談社文芸文庫)

『如何なる星の下に』(高見順・著/講談社文芸文庫)を読みました。否、正確には途中で投げ出しました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

高見順が捉えた昭和十年代の浅草

さらなる戦争へと突き進む時代、浅草に移り住み明と暗の物語を紡いだ高見順の孤高なる「慕情」を窺い知れる代表作

昭和十三年、自ら浅草に移り住み執筆をはじめた高見順。彼はぐうたらな空気と生存本能が交錯する刺激的な町をこよなく愛した。主人公である作家・倉橋の別れた妻への未練を通奏低音にして、少女に対する淡い「慕情」が謳い上げられるのだった。暗い時代へ突入する昭和初期、浅草に集う人々の一瞬の輝きを切り取り、伊藤整に「天才的」と賞賛された高見順の代表作にして傑作。

坪内祐三
浅草は大阪人である川端康成武田麟太郎の旅情を刺激する。しかし東京人である高見順はそのような「旅心」をおぼえない。しかも、東京人でありながら、山の手っ子である高見順は浅草にそのまま同化することが出来ない。異人である。旅人でもない異人が浅草に部屋を持つ。その時その異人に見えてくる風景は?それが『如何なる星の下に』で描かれている(略)――

※本書は、中央公論社『日本の文学57高見順』(昭和40年5月刊)を底本としました。

 

如何なる星の下に (講談社文芸文庫)

如何なる星の下に (講談社文芸文庫)

 

 

 

  高見順氏の小説を読むのは初めてである。私は高見順という作家を知らなかった。本書を読むきっかけになったのは五木寛之氏の評論『人生の目的』を読んだ際、その中に「昔は星まわりの善し悪しを言う人がずいぶん多かった。・・・(中略)・・・ そういえば高見順という作家に『如何なる星の下に』という題の作品があった。この小説にも宿命という、どうにもならない人間が背負った重いものへの、やりきれないため息が流れているように思う」という記述があり興味をもったのである。

 読んでみてがっかりである。舞台は昭和10年代の浅草。浅草に仕事部屋を間借りした中年作家・倉橋が別れた妻への未練を持ちつつ、踊り子の少女に恋慕の情を抱く。浅草の芸人や物書きたち、その他住民との交流、浅草の持つ混沌の不思議な魅力とそこに住住む宿命への諦念を前衛的・実験的な手法で描いたということなのだろう。

 私小説だかプロレタリア文学だか知らないが、ぐだぐだと無秩序に書き殴った文章は読みづらく美しさのかけらもない。安っぽいヒューマニズムなどまっぴらごめんだし、自己憐憫のニオイがプンプンというのはいただけない。

 確かに高見順の時代はあったのだろう。しかし、戦後に生まれ、高度成長期に育ち、平成、令和と生きてきた私には無縁だということだろう。