佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

夏から秋へと

2026/09/05

 本日の厨房男子。

 夏から秋へと季節の変わり目。この時期においしいものと言えば秋刀魚。北海道産の生が手に入ったので塩焼きにした。

 他には「ゴーヤーのツナマヨチーズ射込み焼き」、「ピーマンの炒め焼き」。夏の名残。

 デザートはぶどう。ピーマンもぶどうも知人からのいただきもの。無農薬で育ててあるので安心してたべられる。ありがたい。

 酒は「加賀鳶 純米吟醸 ひやおろし」。

スパゲッティナポリタン

2026/09/05

 本日の厨房男子。
 つれ合いが出かけており昼食は独り飯。

 簡単に作れるものをとスパゲッティナポリタンを作った。具はベーコンと玉ねぎとピーマン。ピーマンはこれでもかというほどたくさん使った。

 酒は「ズブロッカ」。冷凍庫で氷点下に冷やしているので、とろーりとしている。

『定食屋「雑(ざつ)」』(原田ひ香:著/双葉社)

2026/09/03

『定食屋「雑(ざつ)」』(原田ひ香:著/双葉社)を読んだ。

 まずは出版社の紹介文を引く。

真面目でしっかり者の沙也加は、丁寧な暮らしで生活を彩り、健康的な手料理で夫を支えていたある日、突然夫から離婚を切り出される。
理由を隠す夫の浮気を疑い、頻繁に夫が立ち寄る定食屋「雑」を偵察することに。
大雑把で濃い味付けの料理を出すその店には、愛想のない接客で一人店を切り盛りする老女〝ぞうさん〟がいた。
沙也加はひょんなことから、この定食屋「雑」でアルバイトをすることになり——。
個性も年齢も立場も違う女たちが、それぞれの明日を切り開く勇気に胸を打たれる。
ベストセラー作家が贈る心温まる定食屋物語。

 

「雑(ざつ)」とはなんとも変な名である。定食屋にそんな名をつけるとは、いったいどんなわけなのか、それがまず気になってしかたがなかった。「雑」という名前だけ見て、そこでごはんを食べたいという気になる客はよほどの変わり者だろうから。読んでみると、なーんだそうだったのかと腑に落ちた。

 変な名前と言えば、小説の題名どころか作者の名もまた変ではないか。名をどうこう言うのは、失礼かもしれないと些か憚られるのだが、少なくとも一般的な名ではない。AIに尋ねてみた。もともと原田氏は小説家デビュー以前、脚本家として「中村比香」名義で活動していた。たまたま乗ったタクシー運転手が姓名判断をする人で、「原田ひ香」という名前が良いと助言されたことがきっかけなのだとか。AIが正しいことを答えるとはかぎらないらしいので、知らんけど。

 食べものにまつわるほっこり系人情小説かと思い込んでいたが、読んでみて意外に重い内容であった。

 定食屋「雑」は普通の食堂である。高級食材を使うわけでもなければ、手の込んだ調理をするわけでもない。店主に飛び抜けた技術があるわけでもない。それでも多くの人に気に入られている。前記の紹介文にもあるとおり、主人公・沙也加は夫のために一生懸命食事を用意して待つのに、夫は内緒で頻繁に「雑」を訪れているのだ。そしてそれは離婚の一因にもなる。この定食屋のどこにそれほどの魅力があるというのか。私が思うに、それは普通だからだろう。鼻につく一生懸命さなど微塵もない。肩の力が抜けているのである。グルメでなくて良い。こだわらなくて良い。オーガニックや減塩などと洒落臭いことは言わない。「雑」で良いという開き直りが根底にある。人間も同じではないか。人間には欠点が多い。欠点をすべて直さなくてはならないなどと言い出せば生きづらいことこの上ない。「ちゃんとしないと」という堅苦しい思い込みから解き放たれ、他者にも自分にも寛容になれたとき、人はちゃんと生きていけるようになる。そんなことを考えた。

 

🎵 “Bittersweet”

2026/09/03

 先日、ディーナ・カーター(Deana Carter) の"Strawberry Wine"という曲について書いた。私にとって、夏の終わりになると聴きたくなる曲である。その歌詞の中に次のような一節がある。

My first taste of love, oh bittersweet
The green on the vine like strawberry wine

「初恋の味は甘くほろ苦かった。 未だ青い果実のままの葡萄の蔓――まるでストロベリー・ワインのように」とでも訳したら良いのだろうか。初恋の味を "bittersweet" と表現するところに共感するのである。ジジイになっても、いやジジイになったからこそ、あの頃のことをそんな風に切なく思い出すのだ。もうあの時代に帰ることが叶わない。でもあの頃は良かったなと。

 "bittersweet" という言葉がそれこそ切なく胸に迫る曲がもう一つある。Big Head Todd and the Monsters の "Bittersweet" という曲がそれだ。

 こちらは失恋ではなく、成就した恋を歌っている。でもそれが  "Bittersweet" なのだ。美しい彼女との未来を夢見ていた僕は、彼女と結ばれ、仕事に励み、歳を重ねている。夢はかなった。でも、自分が夢見ていたものとは少し違う。彼女と一緒に暮らせればすべてが満たされると思っていたのに。自分は何を夢見ていたのだろう。本当に欲しかったものは何だったのだろう。思い描いた将来を手に入れた今、なぜ完全には満たされないのか。そういう「ほろ苦さ」が歌われている。

It's bittersweet
More sweet than bitter
Bitter than sweet
It's a bittersweet surrender

 後悔しているのではない。不満だというのでもない。二人の愛が甘いのか苦いのか、もう決めることはできない。幸せだと思う日もあれば、苦しさのほうが大きい日もある。でも、きっと愛とはそういうものなのだろう。それは少し苦い。けれど、やはり甘い。僕は、この bittersweet な愛を受け入れる。

 ひと言でいえば「現実の甘受」だろう。酸いも甘いもかみ分けた大人の心境を歌った素敵な歌。パフォーマンスも肩の力が抜けてカッコイイ。

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jhon-wells.hatenablog.com

 

 

🎵 “Strawberry Wine”

2026/08/31
 八月も終わり。この季節になると妙に心に沁みる曲がある。ディーナ・カーター(Deana Carter) の1996年7月デビューシングル "Strawberry Wine" だ。

 17歳の夏、大学の夏休みに祖父の農場で働いていた学生に恋をした女の子の切ない想いを歌ったもの

He was working through college
On my grandpa's farm
I was thirsting for knowledge
And he had a car
Yeah, I was caught somewhere between a woman and a child
One restless summer we found love growing wild
On the banks of the river on a well-beaten path
It's funny how those memories they last

[Chorus]
Like strawberry wine and seventeen
The hot July moon saw everything
My first taste of love, oh bittersweet
The green on the vine like strawberry wine

 

 17歳の夏、初恋の味はほろ苦い。まるでストロベリー・ワインのように。

 良いですなぁ。

 この夏読んだ本に『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』(原田ひ香:著/中央公論社)がある。連作短編集だったが、それに収められた「北の国から」という作品も夏の間、北海道の羅臼にアルバイトに来ていた学生にまつわる話だった。

 若かったあの頃、夏の終わり。ほろ苦く切ない。

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ひやおろしの季節が来た

2026/08/29

 本日の厨房男子。

 八月も下旬ともなれば「ひやおろし」が出始める。「ひやおろし」は春に一度だけ火入れして夏を越え、秋口に再火入れせず出荷する日本酒である。重陽の節句には未だ早いが、気の早い酒蔵はもう出荷している。酒屋に行き「加賀鳶 純米吟醸 ひやおろし」を買って来た。

 アテを何にするかと考えたが、やはり純和風がよいだろう。そもそも「加賀鳶」というのは加賀藩江戸屋敷の大名火消しだ。粋で、力強く、キレのよい酒。それが「加賀鳶」である。中華でも西洋料理でも何にでも合う酒ではあるが、今日は和でいきたい。そうでなければ、「べらぼうめぇ! 酒の肴にしっくりくるのは、昔ながらの和の惣菜(おこのみ)にきまってらぁ!」と江戸っ子の火消しに叱られそうな気がする。

 ちょうど出汁をとった昆布と煮干しがある。昆布は刻んで「クーブイリチー」に、煮干しは身と骨に分けて、骨は油でこんがり揚げ焼きにして塩を振り、身は醤油とみりんと少々の砂糖で甘辛く佃煮にした。これなら江戸っ子も文句あるまい。

 もう一品、まったりと深い旨味のある肴をと「鶏肝の生姜煮」も作った。

 酒の味は「加賀鳶」らしい旨味を残したキレがすばらしい。ひと夏の熟成で、ひやおろしらしい柔らかさが加わっているようだ。うまい。