佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『旅猫リポート』(有川浩・著/講談社文庫)

旅猫リポート』(有川浩・著/講談社文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

僕は諦めない。ハッピーエンドが待ってるんだ。英語をはじめ6ヵ国に翻訳された、世界中の人々を魅了する不朽の名作。

 

野良猫のナナは、瀕死の自分を助けてくれたサトルと暮らし始めた。それから五年が経ち、ある事情からサトルはナナを手離すことに。『僕の猫をもらってくれませんか?』一人と一匹は銀色のワゴンで“最後の旅”に出る。懐かしい人々や美しい風景に出会ううちに明かされる、サトルの秘密とは。永遠の絆を描くロードノベル。

 

 

旅猫リポート (講談社文庫)

旅猫リポート (講談社文庫)

 

 

 久しぶりに有川さんを読んだ。高知県を旅していたとき、ふと土産物屋で見かけたのだ。移動中に読むものが切れてはこまると念のために購入。いつもの有川さんです。読み始めたら心をぐっとつかんで離さないストーリー展開。分かりやすい語り口。ホロッと泣かせるところ、一気読み必至というのもいつもの有川さんです。電車の中で終盤にさしかかり、鼻の奥がツンとしてしまった。大方のストーリー展開が分かっているのに泣かせるんだなぁ。いやぁ、危なかった。

 

『寺山修司詩集』(寺山修司・著/ハルキ文庫)

寺山修司詩集』(寺山修司・著/ハルキ文庫)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

詩・短歌・俳句・戯曲・エッセイ…戦後の高度経済成長時代を駆け抜けていった寺山修司は、一人の詩人としても巨大な足跡を文学史に残した。本書ではマザーグースの翻訳詩や、ケストナーからヒントを得た「人生処方詩集」、著者が若き日のすべてを注ぎ込んだ歌集・句集から少女歌集、歌謡曲から戯曲、未刊詩集までを収録。あらゆる人々を魅了してきた青春の痛みと優しさを包んだ寺山修司のエッセンス。

 

 

寺山修司詩集 (ハルキ文庫)

寺山修司詩集 (ハルキ文庫)

 

 

 私にとっての寺山修司は次の2編の詩です。短歌でも、俳句でも、歌謡曲でも、戯曲でもなく、これら2編の詩です。

 彼は実に多様な顔を見せていた。詩人、編集者、歌人俳人、戯曲作家、映画監督、脚本家、ルポ・ライター、小説家、エッセイスト、演出家、放送作家、作詞家、競馬評論家、劇団主催者、コメンテーター、あらゆる見られ方を許した昭和のアジテーターであった。その顔のひとつがこれら2編の詩に垣間見える。みずみずしい若さと傷つきやすさ、これこそが彼の本質なのではないかと思う。もちろん他の顔も本当の彼であろう。しかし、いろいろな顔で守られた内にある彼のやわらかい部分を、私はこれら2編の詩に見るのだ。

 

五月の詩

きらめく季節に
だれがあの帆を歌ったか
つかのまの僕に
過ぎてゆく時よ

夏休みよ さようなら
僕の少年よ さようなら
ひとりの空ではひとつの季節だけが必要だったのだ 重たい
本 すこし
雲雀の血のにじんだそれらの歳月たち

萌ゆる雑木は僕のなかにむせばんだ
僕は知る 風のひかりのなかで
僕はもう花ばなを歌わないだろう
僕はもう小鳥やランプを歌わないだろう
春の水を祖国とよんで 旅立った友らのことを
そうして僕が知らない僕の新しい血について
僕は林で考えるだろう
木苺よ 寮よ 傷をもたない僕の青春よ
さようなら

きらめく季節に
だれがあの帆を歌ったか
つかのまの僕に
過ぎてゆく時よ

二十才 僕は五月に誕生した
僕は木の葉をふみ若い樹木たちをよんでみる
いまこと時 僕は僕の季節の入口で
はにかみながら鳥たちへ
手をあげてみる

二十才 僕は五月に誕生した

 

幸福が遠すぎたら

さよならだけが 人生ならば
また来る春は 何だろう
はるかなはるかな 地の果てに
咲いている 野の百合 何だろう

さよならだけが 人生ならば
めぐり会う日は 何だろう
やさしいやさしい 夕焼と
ふたりの愛は 何だろう

さよならだけが 人生ならば
建てた我が家 なんだろう
さみしいさみしい 平原に
ともす灯りは 何だろう

さよならだけが 人生ならば
人生なんか いりません

 

 

 

 

SANTANA TRANSMOGRIFY TOUR 2017 大阪公演

 サンタナのLIVEを観てきました。

 後半”Black Magic Woman”から"Oye como va"への展開、盛り上がり最高。鳥肌ものでした。もちろん”Smooth"もよかった。

 

 コンサート終了後、谷町四丁目の居酒屋「かず伸」でクールダウン。

 と思ったら、となりの二人連れ(老紳士と若い女の子)、同じところに行っていたようで、サンタナを熱く語っていた。

 聞き耳を立てていたわけではないが、おもしろかったのが老紳士が世界三大ギタリストにサンタナが入っていないという話をしたときのこと。さて世界三大ギタリストとは誰々でしょうとなり、若い女の子はう~~ん!と考えこんでしまった。なんとかエリック・クラプトンという答えは絞り出したものの、次に出てきたのは「あっ、娘が映画女優の・・・・・・、そうそう、エアロスミス」と言った。ここで私は思わず「いやいやそれはバンド名ですから。そして娘が映画女優なのはスティーヴン・タイラー、ヴォーカルですから!」とツッコミを入れそうになりました。黙って笑いをこらえていましたが・・・。いやぁ、可愛らしい女の子でした。

 酒は「呉春」「銀盤」「奥播磨」を各一合。

 

『みんな酒場で大きくなった』(太田和彦・著/河出文庫)

『みんな酒場で大きくなった』(太田和彦・著/河出文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

酒場の達人×酒を愛する著名人対談集。角野卓造川上弘美東海林さだお椎名誠大沢在昌成田一徹という豪華メンバーが酒場愛を語る、読めば飲みたくなる1冊!特別収録「太田和彦の仕事と酒」。

 

  角野卓造氏との東西居酒屋番付談義、川上弘美氏が語る文章が「夜中の恋文」になってしまわないための推敲方法、東海林さだお氏に対するひとり居酒屋指南、太田氏の椎名誠氏へのあこがれ、大沢在昌氏と北方謙三氏との友情、成田一徹氏との銀座のバー談義、全てが楽しい。私にとって本書の登場人物は憧れの存在であり、酒の飲み方のお手本だ。久しぶりに北方謙三を読むか。いや藤田宜永がいいか。ひとり居酒屋で余計なことをしゃべらず、唯々本を読む。なんてハードボイルド!