佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

京に遊ぶ 2011/11/26(その1) 小説の名場面を思い浮かべながら

2011/11/26

 

jamjamさんのブログを読んで、紅葉の京都に遊びたくなりました。

この秋はムリかなと思っていたのですが、いろいろあった予定を変更して行くことにしました。

前日から久しぶりに娘が帰ってきていた。妻と映画『素敵な金縛り』を見に行く相談をしていた。「お父さんも一緒にどう?」というお声がかかるのかと思いきや、豈図らんやである。いささかムッとしつつも、私には私の人生があるのだと思い直した。自転車を駆って京の街を失踪する己が姿を思い浮かべニンマリとする。間違えた「失踪」×→「疾走」○である。いくら私でも映画のお誘いが無かったぐらいで拗ねて失踪する訳にはいくまい。私は良識あるお父さんなのだ。

 

走行ルートです

総走行距離 40.6㎞  経過時間 7時間07分

 

 

京都駅を降り、まずは四条大橋へ向かう。

四条大橋西詰に東華菜館がある。ヴォーリズの設計した建物です。このスペイン風の塔に弁天が立ち、夜の京都の街に飛び立っていったのだな。(森見登美彦・著/有頂天家族) 四条大橋からしばし塔の先端を振り仰いだが、弁天の姿は見えなかった。残念である。

 

四条大橋を渡り、東に突き当たると八坂神社がある。あたりを散策してみると、八坂神社のさらに東に長楽寺という寺があった。門前の木が見事に色づいていた。どうやら紅葉を愛でるのに最適の時季を選んだようだ。

 

 

知恩院。毎年、大晦日になると何故か想い出す寺院です。

 

神宮道を北へあがると京都市美術館があります。「印象派・ポスト印象派 奇蹟のコレクション ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」が開催されています。観たかった展示です。27日までの開催なので間に合ってよかった。案内パネルにはゴッホの「自画像」が描かれているが、なんといってもこの展示の値打ちはモネとセザンヌでしょう。他を圧倒していました。

京都市美術館では「美術展の素晴らしいところは何か分かりますか。彼女の横顔が見られるところですよ」という主人公、守田・おっぱいに目のない男・一郎の手紙(森見登美彦・著/恋文の技術)を想い出し思わず目を潤ませた。

 

美術館を後にし、さらに北上すると京都大学界隈になる。大学の東に吉田神社を見つけた。

ここは万城目学氏の名著『鴨川ホルモー』で京大青龍会がレナウン娘のCMソングを歌いながら裸踊りをしたという由緒ある神社である。素通りする訳にはいくまい。謹んで参拝した。

 

 

 

吉田神社を後にして京都大学の前を通る。どうやら大学祭をやっているらしく人通りが多い。おもわず私も門をくぐってみようかと思ったがやめておく。この門をくぐるのは生まれ変わって京大入試を受験するときだ。その時までさらば京大。

 

京都大学の北、百万遍交差点である。横断歩道向こうにはレブン書房がある。入ってみたい気もしたが、今日は入るまい。この店は京大生御用達の本屋だ。私などの入るところではない。

それよりオニの姿はないかと目をこらしたが見えない。京都大学青竜会も大学祭で忙しくホルモーどころではないのだろう。

 

 下鴨神社にも立ち寄った。ここは森見登美彦氏の名著『夜は短し歩けよ乙女』で主人公のヘタレ京大生が一目惚れした黒髪の乙女を追い求めた古本まつりがあった場所だ。同じく森見氏の名著『四畳半神話大系』では明石さんが古本の店番をしていた。下鴨納涼古本まつりはお盆前後に開催される。来年の夏にでなおそう。明石さんに会いたい。黒髪の乙女に会いたいと世迷い事を考えながら境内にはいると、美しい花嫁が目に入った。古今、数々の恋が生まれては消えたこの神社で結婚式を挙げることができるのは幸せなことではないか。