佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『わしらは怪しい探検隊 / 椎名誠(著)』(角川文庫)を読み直す

「東日本何でもケトばす会主催第三回青少年強化合宿三宅島遠征隊行動指令書」
一九六八年、六九年と二年にわたって琵琶湖をケリあげてたたきなおした東ケト会(略称=E・J・O・K)はこの安保フンサイの年にむけて、いよいよ大海にのり出し、最近俗化いちじるしくトンボメガネ、ホモ・レズのはびこる三宅島をカンプなきまでにフンサイしてしまうことになった。今、遠征隊の統一テーマは”食欲の限界に挑む”であり、参加隊員の一層のフンキを期待する


椎名誠氏の旅行記、怪しい探検隊シリーズ第一弾『わしらは怪しい探検隊』を再読しました。

わしらは怪しい探険隊 (角川文庫)

わしらは怪しい探険隊 (角川文庫)

先日『わしらは怪しい雑魚釣り隊』を読み、本棚に収めたときにこの本が見あたらなかったため「ひょっとしてこの記念すべき第一書を読んでいないのではないか?読んでいないのならスグにも読みなさい。兎に角、即、確認すべし!」というとんでもない疑いを持つに至り、即購入したものだ。
『わしらは怪しい雑魚釣り隊』についてはこのブログに記している。

http://d.hatena.ne.jp/Jhon_Wells/20090714#1247578340

書き出しを読んでみる。

「神島にしようじゃないの」
と、その年の夏、陰気な小安は早くも二級酒四合をぐびりぐびりと飲み干し、板わさ、もつの煮込み、もろきゅう、といったところをあらかたつつきおわったところでぼそぼそと陰気に言った。

おぉ!この書き出し、覚えがあります。やっぱり読んでいた。どういう経緯でこの本が本棚から消えてしまったかは謎のままである。しかし、こうして手に入ったのだから良いのだ。折角だからもう一度読み直すのだ、ということで再読しました。やはり素晴らしい。うひひ、うひひと笑いながら一気に読んでしまった。

この本は「東ケト会」(東日本何でもケトばす会)の名を日本全国に知らしめた記念碑的第一書なのである。怪しい探検隊シリーズのすべてはここから始まったのだ。
「東ケト会」=「怪しい探検隊」とは、日本の離島やキャンプ地にテントで宿泊し焚き火宴会を行うことを主たる活動とする、椎名誠を中心とした私的なサークルの名称である。本書177Pによると、当時の構成メンバーは隊長(椎名誠)、炊事班長(沢野ひとし)、にごり目、陰気な小安、木村せんせい(木村晋介)、長老(山森俊彦)、依田セーネン、ユー玉、フジケン、釜たきメグロ目黒考二)であったようだ。ちなみに「怪しい探検隊」は後年、参加者が高齢化し自由な活動ができなくなったことを原因として、写真家の中村征夫、カヌーイストの野田知佑といったメンバーが強力メンバーを加えるなど大幅にメンバーが入れ替わり「第二次怪しい探検隊」として「いやはや隊」に発展的解消。さらに二〇〇〇年代に入っては釣りジャーナリストの齋藤海仁らをメンバーとした「第三次あやしい探検隊」として「怪しい雑魚釣り隊」に変遷している。


裏表紙の紹介文を引きます。

離島でのきつい天幕生活に挑む会「東日本何でもケトばす会」の、結成当時の行状記。椎名隊長ほか隊員たちの個性が光る、前代未聞の面白さ!酒と食料の大移動、テント張り、かまど設置、ゴミの穴ほり、蚊の代襲来等々、夜明とともに雑用と自然との戦いが始まり、美しい夕焼け空が疲れきった一日の終わりを告げる。海と冒険と仲間、椎名文学の三大要素が楽しめる「怪しい探検隊」ものの、記念すべき第一書。