佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

3月の読書メーター

 

2015年3月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2405ページ
ナイス数:1454ナイス

 

 

 

 先月は自分で車を運転しての出張が多く、あまり本が読めなかった。やはり通勤と出張はバスと電車に限る。
 読んだ本の中では北森鴻『花の下にて春死なむ』が良かった。初めて北森氏の小説を読んだが、氏の小説に出会えたのは僥倖であった。他の小説も是非読みたい。4月になって、「願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」と詠んだ西行を思いながら吉野の桜を眺めに行ったほど入れ込んでいる。早速、今は続編『桜宵』を読んでいる。

 

 


もの食う話 (文春文庫)もの食う話 (文春文庫)感想
「ものを食う」ということを考えた時、食欲と性欲は近いところにあると感じる。人はそのことに無関心ではいられない。しかしだからといって人に大っぴらにすることがためらわれる隠微な部分もある。食に対する考え方、態度でその人物が透けて見えるという怖さもある。内田百閒先生の食べたいもの目録に自分に近いものを発見してちょっと嬉しかった。森鴎外の「牛鍋」に女の怖さを見た。筒井康隆はやはりおもしろい。色川武大はやはりカッコイイ。永井龍男の「黒い御飯」が妙に気に入った。
読了日:3月5日 著者:文藝春秋

 


あい―永遠に在り (時代小説文庫)あい―永遠に在り (時代小説文庫)感想
夫を支え、御飯を作り、家内を整え、機を織る。久しぶりに素晴らしい夫婦のかたちを見た思いです。こういうと男尊女卑だとフェミニストから叱られそうだが、一昔前の美風として清々しく読ませていただいた。こうした夫婦愛の形があっていい。「婆はわしより偉かった」という関寛斎の言葉がこの物語の全てだ。司馬遼太郎胡蝶の夢』、城山三郎『人生余熱あり』も読んでみたい。
読了日:3月11日 著者:高田郁

 

 


ヴァン・ショーをあなたに (創元推理文庫)ヴァン・ショーをあなたに (創元推理文庫)感想
街の小さなフレンチ・レストランが舞台なだけに、出てくる料理の美味しそうなこと。主人公の三舟シェフ。売りは料理の腕とキレキレの推理。料理人としての矜持はなかなかのもの。三舟シェフの料理の味が素晴らしいのは腕が良いだけではない。相手を思いやる心がこもっているのだ。ちゃんとしたレシピどおりに作れば美味しい料理はできる。その料理に相手を思いやる心が加わった時、それは特別なものになるのだ。「ブーランジュリーのメロンパン」と「ヴァン・ショーをあなたに」が特に素晴らしい。どちらも大切な人を思いやる心が紡いだ物語です。
読了日:3月12日 著者:近藤史恵

 


鍋釜天幕団ジープ焚き火旅 あやしい探検隊さすらい篇 (角川文庫)鍋釜天幕団ジープ焚き火旅 あやしい探検隊さすらい篇 (角川文庫)感想
これを読むには椎名誠沢野ひとし木村晋介、目黒孝二(北上次郎)、野田知佑、カヌー犬「ガク」、克美荘(小岩のアパート)、東ケト会、さらに渡辺一枝さんのことを知識としてある程度知っている必要がある。そうでなければ、ただただ椎名誠と目黒孝二の雑談を側で黙って聞いている状態である。しかし、椎名誠とその仲間、なかんずく東ケト会の行状を脳にインプットしている人間にとって、これほどオイシイ本は無い。つまりこの本は読み手を選ぶのだ。ちなみに私はそのあたりある程度判っているつもりである。自慢するほどの事ではないけれど。
読了日:3月13日 著者:椎名誠、目黒孝二

 


大衆食堂パラダイス! (ちくま文庫)大衆食堂パラダイス! (ちくま文庫)感想
通称「エンテツ」、遠藤哲夫氏は初読みです。「大衆食堂の詩人」と称される方だけに、読む前から期待はMAX状態であった。しかし、文章が粗いと感じた。確かに大衆食堂を探求するのに気取ってもはじまらないだろうが、やはり文章には気品があったほうがよい。島崎藤村千曲川のスケッチ』に書いたという「一ぜんめし 揚羽屋」はぜひ訪れたい。北九州市戸畑の「まんなおし食堂」のサバ味噌も食べてみたい。
読了日:3月15日 著者:遠藤哲夫

 


よくわかる中食業界 (業界の最新常識)よくわかる中食業界 (業界の最新常識)感想
世間で常識と言われることを鵜呑みには出来ないと自戒しながらも、やはり基礎的な知識をないがしろには出来ない。こうした本を読んだとき、書いてあることからいろいろ想像が拡がり楽しくなってくる。楽しく想像したことを現実のかたちにする時にたいへんな苦しみを味わうことになるのだが。
読了日:3月18日 著者:高橋麻美

 

 

 


成功する!デリ・惣菜経営―儲かる製造・販売の仕組みづくり成功する!デリ・惣菜経営―儲かる製造・販売の仕組みづくり感想
惣菜事業に特化したコンサルタントの方の書かれた本だけにツボは押さえてあるのかな。キチンと理解できたかどうか自信は無いけれど、勉強になりました。
読了日:3月18日 著者:吉岡照雄

 

 

 

 

 


はじめての「デリ&お弁当屋さん」オープンBOOK (お店やろうよ!)はじめての「デリ&お弁当屋さん」オープンBOOK (お店やろうよ!)感想
狙っていた内容ではなかったものの楽しめました。店をオープンすることには夢と希望がある。実際に開業した人のウキウキした気持ちが伝わってくる。やる気のある人をみると元気が出てきます。
読了日:3月18日 著者:バウンド

 

 

 

 


じゃりン子チエ 18 (アクションコミックス)じゃりン子チエ 18 (アクションコミックス)感想
時は春。いつもの事ながらジュニアがノイローゼに。ジュニア君、私にはわかるよ。冬の間に鬱積したエネルギーが春になると爆発しかねない状態になるのだね。しかし、キミの知性は単純に春だからという理由で浮かれることを許さないのだろう。「この気もちはなんだろう 枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく よろこびだ しかしかなしみでもある いらだちだ しかもやすらぎがある あこがれだ そしていかりがかくれている 心のダムにせきとめられ よどみ渦まきせめぎあい いまあふれようとする」 谷川俊太郎のこの詩をキミに贈ろう。
読了日:3月21日 著者:はるき悦巳

 


花の下にて春死なむ (講談社文庫)花の下にて春死なむ (講談社文庫)感想
書評家・大矢博子氏によると食べ物を表して、読者に「食べたい」と思わせる技術に特に秀でた作家は池波正太郎北森鴻、高田郁、近藤史恵なのだそうである。(近藤史恵・著『ヴァン・ショーをあなたに』の解説より) ならば、と初めて北森鴻氏の小説を手に取った。なるほど、小説中、ビアバー「香菜里屋」で供される料理とビールの美味そうなこと、思わず生つばゴクリである。ミステリとしての独特の味わいも魅力に溢れている。これまで一度も北森氏の小説を読まなかったとは迂闊であった。
読了日:3月24日 著者:北森鴻

 



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