佐々陽太朗の日記

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『ビート 警視庁強行犯係・樋口顕』(今野敏/著.新潮文庫)を読む

『ビート 警視庁強行犯係・樋口顕』(今野敏/著.新潮文庫)を読みました。

 

背表紙の紹介文を引きます。


警視庁捜査二課・島崎洋平は震えていた。自分と長男を脅していた銀行員の富岡を殺したのは、次男の英次ではないか、という疑惑を抱いたからだ。ダンスに熱中し、家族と折り合いの悪い息子ではあったが、富岡と接触していたのは事実だ。捜査本部で共にこの事件を追っていた樋口顕は、やがて島崎の覗く深淵に気付く。捜査官と家庭人の狭間で苦悩する男たちを描いた、本格警察小説。


 今野敏(「こんのびん」と読みます。ちなみに本名は同じ漢字で「こんのさとし」と読むそうです)さんの小説は先日読んだ『隠蔽捜査』に続き2冊目です。どちらも素晴らしい作品ですが、私は本作『ビート』のほうが好きです。何故って、泣けますもの。父なら息子を思う気持ちを、子なら反発しながらも親を思う気持ちがひしひしと伝わってくる良作です。

 ちなみに今野敏氏は2006年『隠蔽捜査』で第27回吉川英治文学新人賞を、2008年『果断 隠蔽捜査2』で第21回山本周五郎賞、第61回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞している。どちらも警察庁のキャリア官僚・竜崎伸也シリーズだ。『果断 隠蔽捜査2』は是非とも読みたい。また『ビート』は警視庁強行犯係・樋口警部補シリーズの第3作らしい。主人公の警部補・樋口顕は、真面目でちょっと気弱な家族思いのオジサンというとても良いキャラクターなのだ。すっかりファンになってしまった。順序が逆になってしまったが第1作『リオ』、第2作『朱夏』も読まねばなるまい。今年の年末年始も忙しい。