面白南極料理人
1997年12月31日ドーム基地夕食メニュー「大晦日スペシャル」
- 前菜盛り合わせ
- 春雨と平目の清湯スープ
- スペアリブの蒸し物
- ロブスターの二色ソース
- 鶏の唐揚げ
- 鴨と葱の中華ピラフ
- 肉まん・中華ちまき
- エビシュウマイ
- 春巻き
- 杏仁豆腐
- 林隊員特製、手垢一杯混入手打ちそば
裏表紙の紹介文を引きます。
ウイルスさえも生存が許されない地の果て、南極ドーム基地。そこは昭和基地から1000kmかなた、標高3800m、平均気温-57℃、酸素も少なければ太陽も珍しい世界一過酷な場所である。でも、選り抜きの食材と創意工夫の精神、そして何より南極氷より固い仲間同士の絆がたっぷりとあった。第38次越冬隊として8人の仲間と暮した抱腹絶倒の毎日を、詳細に、いい加減に報告する南極日記。
第30次南極観測隊、第38次南極観測隊ドーム基地越冬隊に参加した元海上保安官・西村淳氏が執筆した極寒地料理エッセイです。もっとも寒さが厳しい季節でー80℃の南極ドーム基地。そりゃあウィルスだって生存できないでしょう。そんなところで一年間を過ごし観測を続ける隊員のために料理を作る。卵だって牛乳だって何でもかんでもカチンカチンに凍ってしまう。酒だって頼りないものは凍ってしまうのだ。酒を飲むならアルコール度数65℃~70℃のコンクウイスキーを飲み、ヤワな40℃の普通のウィスキーはチェイサーにするのだ。こんな所に一年もじっとしていろ、日本に帰ってはならん(というか日本に帰る手だてはない)といわれれば、美味いものを食い酒を飲むしか楽しみは無いだろう。極寒の地での作業と宴会の日々。極限状態の中で助け合って生きる8人のオッサンたち、その絆はハンパではない。それ故に彼らが夜な夜な催す宴会はただの飲み会にあらず、神々しいまでに崇高な儀式と化す。当然料理も気合いが入っている。上記の「大晦日スペシャル」を見よ。大晦日だから特別なのだと思うでしょうが、他の日だって相当すごいのだ。南極ドーム基地は酒飲みの聖地であり天国なのだ。