佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

街場の現代思想

「教養」とは「自分が何を知らないかについて知っている」、すなわち「自分の無知についての知識」のことなのである。
                                 (本書P14より)

 

 『街場の現代思想』(内田樹・著/文春文庫)を読みました。内田樹氏の本を読むのはこれが初めてです。

 

 

 内田樹氏については2~3年前にNHKの番組「週間ブックレビュー」で氏の著書『街場の教育論』が取り上げられ、その書評を聴いて以来、ずっと読もうと想いつづけていた方です。といっても、私は内田氏についてはほとんど知らない。神戸女学院大学の名誉教授でいらっしゃるとか。ただ、その番組の書評を聴いて、内田氏のロジックに感銘を受けたのが印象深く、私の心をとらえ続けていたのです。そして、先週、たまたま書店で本書を見かけ(文春文庫・秋の100冊フェア2011の一冊)購入に至ったというわけです。「教育論」ではなく「現代思想」となってしまいましたが……

 

 裏表紙の紹介文を引きます。


「バカ組・利口組」に二極化した新しいタイプの階層社会が出現しつつある。そんな格差社会において真に必要な文化資本戦略とは何か?日本の危機を救う「負け犬」論から社内改革の要諦まで、目からウロコの知見を伝授。結婚・離婚・お金・転職の悩み…著者初の人生相談も必見。話題の名著がついに文庫化。


 

  内田氏が様々な疑問や相談に対し、論考を披瀝する形で記されている。我々が普段、常識と考えていることが実は全くの勘違いであって、単なる思いこみに過ぎなかったことに気付かされる。自分がこれまで如何に一般に常識と思われていることを刷り込まれ、そのことが如何に物事の本質を視る障害になっていたかに気づき愕然とするのだ。しかしそれはたいへん痛快な経験である。読みながらハッと思った箇所に付箋をつけていったが、それは18カ所にも及んだ。何度も読み返すべきかもしれない。そして『街場の教育論』その他のご著書についても是非読ませていただきたい。