佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

12月の読書メーター

12月の読書メーター
読んだ本の数:25冊
読んだページ数:5214ページ
ナイス数:2324ナイス

先月はいろいろな本に出会えた。久しぶりにコミックにも手を出したが、『シティーライツ』、『よつばと!』、どちらも出色の作品だった。

山根成人、岩田健三郎、両氏のご本も読ませていただいた。また一緒にお酒を呑むのが楽しみです。

小説では『せどり男爵数奇譚』(梶山季之)、『芝浜謎噺』(愛川晶)など、生涯わすれない名作に出会えた。もちろん、藤沢周平氏の小説もすばらしいことは言うまでもない。『人間の建設』(小林秀雄岡潔)には啓発されるところ大であった。岡潔氏のご本は今後、繙いていきたい。


シティライツ(1) (モーニングKC)シティライツ(1) (モーニングKC)
諧謔とペーソスにみちた漫画。切なくもの悲しい世界は独特だ。泣いていいのか、笑っていいのか戸惑いながらの泣き笑い。このセンスは希有なものだと確信した。大橋裕之の前に大橋裕之無く、大橋裕之の後に大橋裕之無し。他の誰にも真似できないだろう。「俺はタンクトップを着てる女は大好きだけど、タンクトップを着てる男は大嫌いだ」という友人に激しく同意。つづきを読みたい。
読了日:12月03日 著者:大橋 裕之

 


人間の建設 (新潮文庫)人間の建設 (新潮文庫)
私は本を読むとき、興味を惹かれたところに付箋を貼っていく。本書を読み終えて付箋の数を数えてみた。36枚であった。新記録です。しかし興味を持っただけでわかったとは言えない。何度も何度も読み返し、小林氏と岡氏の記された他の文章を読まなければわからないだろう。そうして知識を深めれば深めるほど前とはちがった解釈がでてくるのだろう。一生かかったってわからないにちがいない。一生をかけてようやくわかるのは「わからないということがわかった」ということだけかもしれない。それでも私はこの本を何度も読み返すべきなのだろうか。
読了日:12月08日 著者:小林 秀雄,岡 潔

 


種と遊んで種と遊んで
種子は旅をする。旅先で根を下ろし、その土地に順応し形や性質を変えて定住する。そして、その性質(味)の中で素晴らしいものが、美味しい野菜としてその地の農家に受け継がれていく。我々の祖先は、そして我々はその恵みにあずかってきた。最近は別々の種を人工的に交配させるF1品種が種子や、できた種を翌季に植えても芽が出ない「ターミネーター」という種子まで生まれており、一握りの国や穀物企業による食糧支配の様相を呈しているありさまだ。そうした状況を憂え、著者・山根氏は在来種を保存するフィールドワークを続けていらっしゃる。
読了日:12月10日 著者:山根 成人

 


バーのある人生 (中公新書)バーのある人生 (中公新書)
バーに入る時の心構えとバーでの過ごし方、カクテルの知識と一とおりの知識が得られる。居酒屋に一人で入れなければ大人の男とは言えない。バーに一人で入れなければ成熟した大人とは言えない。バーに通い続けるうちに人は成熟を増し、やがては枯れていく。行きつけのバーの扉を開け、黙ってカウンターにつくといつもの酒が出てくる。至福の時間を過ごし酔いをみとめながらも決して乱れることがない。そしてさりげなく勘定を払い帰っていく。それが枯れると言うことだろう。
読了日:12月14日 著者:枝川 公一

 


よつばと! (1) (電撃コミックス)よつばと! (1) (電撃コミックス)
ことわっておくが私はロリコンではない。大人の女性が好きである。それもお色気ムンムンならばそれに越したことはない。かようなコミックは本来ならば本の表紙を見ただけで敬遠するところだ。しかし、私の敬愛する登美彦氏が愛読していらっしゃるらしいことをブログで知ったからには読んでみぬわけにはいかぬ。登美彦氏は崩された体調が癒されつつあり、ブログを再開された。おそらくはよつばの効用少なからずとみた。僥倖といわねばなるまい。
読了日:12月16日 著者:あずま きよひこ

 


せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫)せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫)
物語は掘り出しものの古本を安く探しては別のところへ高く転売する仕事(せどり)を生業としている笠井菊哉という男が経験した数奇な事件を、文士である「私」が聞き出すというミステリー仕立ての連作短編小説になっている。登場するのは愛書家、書痴、書狂、ビブリオマニア、まあ何と呼ぼうと要は異常に古書に取り憑かれた人の織り成す物語だ。古書がらみの小説で私が好きなのはジョン・ダニング『死の蔵書』を初めとするシリーズとカルロス・ルイス・サフォンの名著『風の影』だが、『せどり男爵数奇譚』はそれらに優るとも劣らない名著だと思う。
読了日:12月16日 著者:梶山 季之

 


よつばと! (2) (電撃コミックス)よつばと! (2) (電撃コミックス)
完全にはまりつつある。齢52を数える大人の男のすることではない。しかしこれは傑作ではなかろうか。復讐は何も生まない。人の好物をとってはいけない、食べ物の恨みは怖い。どんまい! 教訓に溢れている。
読了日:12月17日 著者:あずま きよひこ

 


よつばと!(3) (電撃コミックス)よつばと!(3) (電撃コミックス)
第三巻目終盤にして、ようやく綾瀬家の父、登場。第二巻では確かあさぎから故人扱いされていた父である。綾瀬家でただ一人、あさぎから沖縄土産をもらえなかったほど影の薄い人物。あー、オヤジってのは切ない。(涙;)
読了日:12月17日 著者:あずま きよひこ

 


よつばと! (4) (電撃コミックス (C102-4))よつばと! (4) (電撃コミックス (C102-4))
ハヤシライスをカレーのにせものと看破するよつば……スルドイ!  ふうかの失恋を知り、しばし呆然、然る後に逆上する綾瀬家の父……いい人だ!!
読了日:12月18日 著者:あずま きよひこ

 


よつばと! (5) (電撃コミックス (C102-5))よつばと! (5) (電撃コミックス (C102-5))
やんだ。 こどもとほんきでつきあえるすごいやつ。
読了日:12月18日 著者:あずま きよひこ

 

 


友だち百物語友だち百物語
最初の友だちは石コロ。良いではないですか。岩田さんらしいほんわか系の絵と文。幸せな気分になります。友だちの中に、予想どおり「バス停」と「酒」がありました。先日、一緒に酒を飲んだとき、本にサインをしてもらいました。私の似顔絵とともに、「一番 新しい 友だちです」と書いてくださいました。おかげさまで私の持っている本は「友だち百一物語」になりました。世界でただ一冊の本になりました。
読了日:12月18日 著者:岩田 健三郎

 


よつばと! (6) (電撃コミックス)よつばと! (6) (電撃コミックス)
よつばにお仕事意識が芽生えはじめてリサイクル、牛乳配達。   仕事もしないでぶらぶらしている大人は見習うべしっ!!  自転車でふうかの学校へ牛乳を配達する仕事熱心に胸を熱くする。とーちゃんのゲンコツに涙うるうるのよつば、カワイイ。
読了日:12月20日 著者:あずま きよひこ

 


初つばめ―「松平定知の藤沢周平をよむ」選 (実業之日本社文庫)初つばめ―「松平定知の藤沢周平をよむ」選 (実業之日本社文庫)
本書に収められた短篇は江戸の下町を舞台にした市井もので、すべて既刊の文庫に収められた作品から選りすぐられたものです。下町に住む職人や大工、博打打ちの男、女郎や水茶屋で働く女など、裏店に住む庶民の悲喜こもごもが描かれます。それぞれ皆、社会的には弱者という境遇にあって、道に迷い過ちも犯しますが、最後には小さな幸せを見つけることができます。そこにある小さな希望は藤沢氏の優しさであろうと思います。藤沢氏の弱い者を見つめる優しいまなざしが読者の心を温めます。
読了日:12月21日 著者:藤沢 周平

 


よつばと! 7 (電撃コミックス)よつばと! 7 (電撃コミックス)
天敵やんだとのからみがひとつの世界を築きつつある。五歳の子供と本気で喧嘩するなよ、やんだ。それにしてもこの物語に出てくる人物はみんな善人だ。悪人がいなければ、世の中はこんなに平和で幸福なのだ。しかるに現実世界はどうしてこうやりきれないことが多いのか?
読了日:12月21日 著者:あずま きよひこ

 


よつばと! 8 (電撃コミックス)よつばと! 8 (電撃コミックス)
玄関先でガチャガチャと音がして、「あ! とーちゃんかえってきた!」と玄関へかけて行ったよつば。そこにとーちゃんではなく、ヤンダの姿をみとめて「おかえれーーー!」。ハハハー。名リアクション!!!
読了日:12月22日 著者:あずま きよひこ

 


驟(はし)り雨 (新潮文庫)驟(はし)り雨 (新潮文庫)
珠玉の短篇十篇。いちばん好きなのは「泣かない女」。足が悪く器量も十人並みであるが故に別れ話を切り出されたお才。「いつかこんなふうな日が来ると思っていた」とあっさりと別れ話を受け入れる。哀れみで一緒に暮らしてもらおうとは思わないと、さらりと別れ話を受け入れる。そんなお才が意を翻して追いかけてきた亭主を前にして、堪えきれなくなりうずくまって泣く。もう一つ「捨てた女」に出てくるふき。自分がのろまで少々鈍いことを知っている。信助に身請けされて一緒に暮らし始める。「ここに、いつまでいていいの?」という言葉が切ない。
読了日:12月23日 著者:藤沢 周平

 


よつばと!  9 (電撃コミックス)よつばと! 9 (電撃コミックス)
よつばの秋。こいわいジェラルミンが誕生。パンツマンの進化形はおしりまるだしマン。見たくない。
読了日:12月24日 著者:あずま きよひこ

 

 


よつばと! 10 (電撃コミックス)よつばと! 10 (電撃コミックス)
今号では「うそ」について考えさせられた。バランスボールで食器を壊してしまってつく嘘。いけないことだが、とーちゃんに悪い子だと思われたくなくてついついついてしまった嘘。気持ちはよく判る。でも嘘をつくのはいけないこと。でも、嘘といえば「ダンボー」について、恵那とみうらがよつばの夢を壊したくなくてつく嘘の話が出てくる。こちらの嘘は許してもイイと思う。おなじ嘘でも、自分のためにつく嘘はだめ。他人のためにつく嘘は許す。そんなところかなー。
読了日:12月24日 著者:あずま きよひこ

 


よつばと! 11 (電撃コミックス)よつばと! 11 (電撃コミックス)
やんだのよつばに対する愛は一方通行だ。やんだよ…、おんなごころをつかむのはむずかしいのだぜ。追いかければ追いかけるほど離れていく。それが女心というものなのだ。たとえそれが5さいの子供であってもな、女は女なのだぜ……、やんだよ!
読了日:12月24日 著者:あずま きよひこ

 


心の風景 -ふるさとを見つめつづけて 乾太の眼差-心の風景 -ふるさとを見つめつづけて 乾太の眼差-
乾太氏の版画をたつの市立龍野歴史文化資料館がまとめて紹介。播州の祭り、ふるさとの風景が版画で力強く、ノスタルジックに描かれる。中でも表紙にも使われている版画「室津の春」が秀逸。暖かい陽光に輝く室津港の様子がうまく表現されている。白と黒だけの世界だが、海に陽光の降り注ぐ様が眩しい。
読了日:12月24日 著者:乾 太

 


ほっと文庫 ゆず、香るほっと文庫 ゆず、香る
温まるな~。さすがは有川さん。二人のイジイジ感がたまりませんなぁ。馬路村の柚子は前からファンでした。柚子ポン酢や柚子入り七味を取り寄せたことがあり、今でも馬路村から年2回ぐらいご案内が郵送されます。久しぶりに鍋用の柚子ポンを取り寄せるかな。その前に今夜は同封の入浴剤でゆず湯だ。たっぷり温めてもらおう。
読了日:12月25日 著者:有川 浩

 


文士料理入門文士料理入門
本好き、酒好き、おいしいもの好き(おいしいものは誰もが好きだろうが…)にとって夢のような本です。文士たちの写真とともに、食べ物にちなんだ文章が引用され、料理写真がカラーで掲載されている。見れば食べてみたくなる、作りたくなる。料理にレシピが書いてあるのがうれしい。ただし、レシピは極々かんたんに紹介されている。あとはあなた方のセンスでご自由にといったところ。心憎い演出だ。宇野千代氏の「極道すきやき」、草野心平氏の「Symphony」「卵納豆」、森茉莉氏の「トマトの牛酪(ばたあ)煮のせ御飯」はぜひとも試したい。
読了日:12月26日 著者:狩野 かおり,狩野 俊,コクテイル書房

 


BRUTUS (ブルータス) 2012年 1/15号 [雑誌]BRUTUS (ブルータス) 2012年 1/15号 [雑誌]
正直なところ、読んでいて気が乗らなかった。世の中が変わるときに読むべき本という切り口でオススメ本を語ってくれているのだが、なんだか小賢しい印象。賢く生きようとするのって、なんだか疲れるし、第一つまらないだろう。むしろ真ん中に綴じ込んである「誰が読んでも面白い小説ガイド。」という記事に興味をそそられた。賭博小説とか料理小説、無頼派小説なんていう記事に私の心はざわつく。
読了日:12月26日 著者:

 


にこにこ貧乏 (文春文庫)にこにこ貧乏 (文春文庫)
週刊文春連載エッセイの文庫化。タイトルの『にこにこ貧乏』は氏が中学生の頃、高知県から東京に引っ越し、貧しい中、新聞配達をしながら学校に通われた生い立ちにちなむものかと想像する。私は山本氏の魅力は「人の真心に対しては心意気で応える」といった気概があるところではないかと思っています。それは山本氏の生きていく上での基本的な姿勢のようにも思えますし、山本氏が昵懇にする人の生き方でもあるようです。本書に頻繁に出てくる大阪天5の『青空書房』のご主人と奥様もそんな方のようです。近く『青空書房』を是非とも訪ねてみたい。
読了日:12月28日 著者:山本 一力

 


芝浜謎噺 (神田紅梅亭寄席物帳) (創元推理文庫)芝浜謎噺 (神田紅梅亭寄席物帳) (創元推理文庫)
古典落語とミステリを絡めるという芸当をいとも簡単にやってくれているところがスゴイ。物語はミステリとしての面白さだけでなく、古典落語を掘り下げて考える落語探求の書としての楽しみもあります。語り継がれた古典落語の腑に落ちない箇所や穴をどう解釈するか。歴代の名人がそれをどう料理するか。改作は可能か。などなど、落語を巡る興味は尽きません。読者の知的興味をくすぐりつつ、人情話として心温まり、ときに涙をさそう物語に仕上げている技術は職人技、まさに真打ちです。おかげさまで素敵な大晦日を過ごすことができました。
読了日:12月31日 著者:愛川 晶

2011年12月の読書メーターまとめ詳細
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