佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2014年11月の読書メーター

2014年11月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2059ページ
ナイス数:1356ナイス

ささらさや (幻冬舎文庫)ささらさや (幻冬舎文庫)感想
お人好しには住みにくい世の中である。隙あらば人を騙してやろう、奪ってやろうと鵜の目鷹の目の世の中だ。そんな世間にあって優しく控えめで、お人好しの妻がいたら・・・ その妻に子供が生まれたとたん、夫たる自分が不慮の事故で死んでしまう羽目になったとしたら・・・。そりゃあ死んでも死にきれない。切ないです。身もだえするほどもどかしく苦しいです。何とかしてやりたい、守ってあげたいという気持ちが奇跡を生む。現実にはあり得ないでしょう。でもそれが出来るのが小説の力です。加納さんの紡いでくれた奇跡と救いの物語に感謝。
読了日:11月24日 著者:加納朋子

 


民王 (文春文庫)民王 (文春文庫)感想
やはり池井戸氏が描く東京第一銀行就職面接会の場面はさすがだ。おもわずニヤリとしてしまった。それにもまして印象的だったのは池井戸氏のマスコミ感と政界感である。女性問題スキャンダルに群がるマスコミのバカ者どもに対し「政治家のスキャンダルなんぞで大新聞や公共放送まで大騒ぎしているのは、日本だけだぞ。お前ら、そんな仕事して恥ずかしいとは思わないのか。目をさましやがれ!」の一言に溜飲が下がる思いであった。国会で本来の政策討議をせず、スキャンダルの追求ばかりする野郎ども、恥を知りなさい。衆議院解散、バンザーイ!!
読了日:11月23日 著者:池井戸潤

 


シャイロックの子供たち (文春文庫)シャイロックの子供たち (文春文庫)感想
銀行ってところはシャイロックたちの巣窟か、或いは伏魔殿なのか。もちろんこれはフィクションである。しかし、池井戸氏の手になる「銀行もの」は本当にいま現在進行形で目の当たりにしているような錯覚さえ覚える。支店各課の営業目標達成状況を発表し、実績を上げられない行員を叱責する場面、さらに叱責される行員の心情の描き方たるや、存分の臨場感を読み手にあたえてくれる。若い頃M銀行にお勤めになっていた氏ならではである。それにしても銀行は怖いところだ。私などにはとても勤まるまい。次は『民王』。ちょうど今日、衆議院が解散した。
読了日:11月22日 著者:池井戸潤

 


at Home (角川文庫)at Home (角川文庫)感想
家族四景。ドライな語り口に、所々ユーモアを交えながらも本質は結構ウェット。読み進めるにつれズシンと堪えた。家族ってのはやっぱり人が生きていくうえでの基本なんだよなぁ。でもその家族ってのが案外もろいものなのだ。だってそれを構成する人がもろいのだから。人生はやり直しがきかない。一度壊れたものは、二度と元どおりにはならない。元に戻らないながらも何とかしようとするしかない。人生は祈りに似ている。「日曜日のヤドカリ」は『Story Seller2』に収録されていたので読むのは二度目。やはりこれば名作だと確認。
読了日:11月16日 著者:本多孝好

 


ワニのあくびだなめんなよ (文春文庫)ワニのあくびだなめんなよ (文春文庫)感想
福井県勝山市の奇祭「勝山左義長」は一度でいいから見てみたいものだ。勝山市では是非「八助」で蕎麦を食べたい。シーナさんが本書の中でうまいと絶賛していた蕎麦屋助六」は実は「八助」のことを名を変えて書いているとの有力な情報を得た。蕎麦は何度でも食べたい。本書の値打ちは実は巻末にある沢野ひとし氏による「椎名論」と目黒孝二氏による「沢野論」である。私にとって椎名誠沢野ひとし目黒考二木村晋介の関係は理想とする友だち付き合いと映る。『沢野字の謎』(本の雑誌社)を買ったのは言うまでもない。
読了日:11月15日 著者:椎名誠

 


古書ミステリー倶楽部古書ミステリー倶楽部感想
書痴という人種は己の中に多少の異常性を持つ。プチ書痴の私にとって最も恐ろしい話は梶山季之の「水無月十三么九」。私はこの短編を『せどり男爵数奇譚』で読んだことがあるのだが、そのおぞましさは他の小説に類を見ない。「二冊の同じ本」さすがは松本清張。ううんっ文句なし! と唸りました。戸坂康二の「はんにん」私の大好きなタイプの話です。早見裕司の「終夜図書館」は逆に大嫌いです。私が大嫌いな小説はさほどないのだが、読むに堪えない。逆に最もうれしかったのは野呂邦暢の「若い沙漠」の中で安西均の「雨」という詩に接したこと。
読了日:11月8日 著者:松本清張,城昌幸,甲賀三郎,戸板康二,石沢英太郎,梶山季之,出久根達郎,早見裕司,都筑道夫

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