佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『ぬけまいる』(朝井まかて・著/講談社文庫)

『ぬけまいる』(朝井まかて・著/講談社文庫)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

一膳飯屋の娘・お以乃。御家人の妻・お志花。小間物屋の女主人・お蝶。若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれ、界隈で知らぬ者の無かった江戸娘三人組も早や三十路前。それぞれに事情と鬱屈を抱えた三人は、突如、仕事も家庭も放り出し、お伊勢詣りに繰り出した。てんやわんやの、まかて版東海道中膝栗毛

 

ぬけまいる (講談社文庫)

ぬけまいる (講談社文庫)

 

 

人は皆、凸凹である。とがっていたり穴が空いていたり、過ぎたり足りなかったり。ところが良いところに目を転じれば素晴らしいものを持っている。良いところを軸にその人を是認すれば、過ぎたるところ足りないところはすんなり受け入れられるものだ。いやむしろその欠点が愛らしくもなる。若いころ「馬喰町の猪鹿蝶」と称されたちゃきちゃきの江戸娘がお伊勢参りの旅の中でほんとうの大人になっていく心の移り変わりにじんときた。大人になるとは「恕」の心を身につけることかもしれない。

子貢問曰、有一言而可以終身行之者乎。子曰、其恕乎