佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『斬られ権佐』(宇江佐真理・著/集英社文庫)

『斬られ権佐』(宇江佐真理・著/集英社文庫)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

 惚れた女を救うため、負った八十八の刀傷。江戸・呉服町で仕立て屋を営む男は、その傷から「斬られ権佐」と呼ばれていた。権佐は、救った女と結ばれ、兄貴分で八丁堀の与力・数馬の捕り物を手伝うようになる。押し込み、付け火、人殺し。権佐は下手人が持つ弱さと、その哀しみに触れていく。だが、体は不穏な兆しを見せ始めて―。一途に人を思い、懸命に生きる男の姿を描いた、切なくも温かい時代小説。

 

斬られ権佐 (集英社文庫)

斬られ権佐 (集英社文庫)

 

 

宇江佐さんの小説を読むのはこれで23冊目。追悼の気持ちで未だ読んでいないものを探して読んでいます。「おっこちきれた」という言葉を初めて聞いた。「ぞっこん惚れる」ことであるらしい。人と生まれ、ただ一度の人生、それも命がいつまであるかは誰にも判らない。であればこの人でなければとおっこちきれることは一等の幸せに違いない。権佐とあさみ、そして娘のお蘭の物語に恥ずかしげもなくボロボロ泣いてしまいました。解説の藤水名子さんのお薦めに従い次は『掘留の家』を収録した『富子すきすき』(講談社文庫)を読むことにする。