佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『Shingu - RHYTHM OF NATURE 自然のリズム』(新宮晋・著/ブレーンセンター)

『Shingu - RHYTHM OF NATURE 自然のリズム』(新宮晋・著/ブレーンセンター)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

●BCBOOK.com●風や水で動く彫刻で知られる世界的なアーティスト、新宮晋の仕事を集めた作品集。自然の働きに魅せられ、その本質に迫ろうとする作家の世界が、各国の作品の写真やスケッチ、計画案などを通じて紹介される。実体としての彫刻はもちろん、今にも生命を得て動き出そうとするかのようなスケッチが楽しく興味深い。    このモビールを生き生きと動かす推進力には、神秘的な、はっきりしない何かがあるようだ。まるで自分の意志で翼を傾け回り始めるように見えるが、どんなすぐれたモーターの仕組みでも、こんなに感度の良い反応を生み出すことはできないだろう。このモビールは、あたかも詩人の繊細な神経を授かったかのように、目に見えない自然の力(この場合は熱空気の流れ)に対する答えを、動きにして私たちに見せてくれる。    ルドルフ・アルンハイム ハーバード大学名誉教授・芸術心理学    自然と人工の融合する場の創出というのが新宮のコンセプトであろう。風、水、光といった自然の力を環境のなかでより敏感に感じるように増幅する。それは動きをたのしみ、動きをよろこぶという全身的な反応を呼び起こす。それは「動く芸術」以上のなにものかなのである。     中原佑介 美術評論家

内容(「MARC」データベースより) 自然と人工の融合する場の創出をコンセプトとした新宮晋の作品集。独特の”動く芸術”を豊富なカラー写真で紹介していく。
著者について ●新宮晋(しんぐう・すすむ)1937年生まれ。東京芸術大学美術学部油画科〔昭和35年〕卒。風で動く彫刻の第一人者として世界的に有名。舞台企画や演出、絵本制作など活動は多彩。'02年毎日芸術賞特別賞。昭和35年ローマ国立美術アカデミアに留学。絵からレリーフへ、さらに完全立体へと関心を移し、動く立体造形を始める。41年帰国し、以後大阪万博、野外彫刻展等で活躍。46~47年ハーバード大学視覚芸術センターから客員芸術家として招かれる。風や水を動力にした作品「羽ばたき」「双子星」「虹の木」などがあり、“空気の専門家”と呼ばれる。近年は建築家、レンゾ・ピアノと組んだ仕事が多い。平成12年21点の風で動く作品を1個のコンテナに収納し、1年8ケ月をかけて自然の中で展覧会を行いながら世界を回るプロジェクト「ウインドキャラバン」をスタート。また50年から絵本も手がけ、「いちご」「じんべえざめ」「小さな池」などがある。-受賞歴-吉田五十八賞(第4回)〔昭和54年〕「雑草の森学園」;現代日本彫刻展国立国際美術館賞〔昭和54年〕;現代日本彫刻展兵庫県立近代美術館賞〔昭和54年〕;長野市野外彫刻賞〔昭和55年〕;日本芸術大賞(第18回)〔昭和61年〕;横浜ビエンナーレ野外彫刻展大賞〔昭和61年〕;ヘンリー・ムーア大賞展特別優秀賞(第6回)〔平成1年〕「星の神話」;倉吉緑の彫刻賞(第3回)〔平成6年〕;神戸須磨離宮公園現代彫刻展宇部市野外彫刻美術館賞(第14回)〔平成6年〕;大阪芸術賞〔平成7年〕;毎日芸術賞(特別賞,第43回)〔平成14年〕「ウインドキャラバン」;紫綬褒章〔平成14年〕▼また、唯一の建築作品として、ブレーンセンター本社「風の万華鏡」の総合設計を手がける。〔平成4年4月竣工〕

 

Shingu―自然のリズム

Shingu―自然のリズム

  • 作者: 新宮晋,アン・ケーリ
  • 出版社/メーカー: ブレーンセンター
  • 発売日: 1991/06/01
  • メディア: 大型本
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 新宮さんの作品は自然の中にあって、或いは都市環境の中にあって、際だってそこにある。そこにある種の緊張感を生み出してもいる。しかしその際だってそこに存在するものは、そこにある環境(空気、湿度、温度、雨、風、雪、水、木々、空、雲など)に感応し、それらを動きとして我々の目に見せてくれる。その佇まいは際だってはいるが決してぎくしゃくせず、そこに溶け込んでいる。それはまるで自然や環境が人間の言葉を獲得し人に語りかけてくるかのようである。

 今年の夏、美ヶ原高原美術館へ行った。そこでは山と空と雲と「星のコンパス」が友だちになっていた。