佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2017年9月の読書メーター

9月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:2495
ナイス数:1151

 

 ふり返ってみて先月は、美術・芸術もの、京都ものエッセイ、大好物のシリーズものミステリ、人情時代ものと充実していた。読書の秋というが読みたい本が堆く手に取られるのを待っている。10月もどんどん読もう。


ユトリロ回顧展 MAURICE UTRILLOユトリロ回顧展 MAURICE UTRILLO感想
今年5月に行った『ユトリロ回顧展』の図録。本棚を整理していて手に取った。寂しいなぁ。まるで時間が止まったかのよう。同じ場所が何度も出てくる。静寂の世界。冬の画が好きです。「サン=ヴァンサン通り、雪のラパン・アジル、モンマルトル」滅多に出てこない人が二人、小さく通りを歩いている姿がある。少しだけほっとする。
読了日:09月30日 著者:セドリック・パイエ(監修)


フロスト始末〈上〉 (創元推理文庫)フロスト始末〈上〉 (創元推理文庫)感想
いけ好かないマレット署長に輪を掛けたくそ野郎、スキナーでぶゴジラ主任警部登場!「マレット+スキナー」くそコンビ、こいつは強烈です。さらに、くそでぶゴジラスキナーに陰湿にいびられているうら若き乙女警官ケイト・ホールビーが登場するに至っては、読者は否応なしにフロスト贔屓にならざるを得ないではないか。がんばれフロスト、負けるなケイト。私もがんばって夜を徹して上巻453Pを読み切ったぞ。フロスト警部シリーズもいよいよ次の下巻で完結か。早速、下巻を読もう。でも終わって欲しくない。でも読みたい。あぁ、どうしよう。
読了日:09月30日 著者:R・D・ウィングフィールド


リアル(写実)のゆくえ〜高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐものリアル(写実)のゆくえ〜高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐもの感想
企画展のテーマ”移入されてから百五十年を経た写実表現がどのように変化し、また変化しなかったのか、日本独自の写実が生まれたのか否か、を作品により検証します”が興味をそそる。企画展に展示された絵をもう一度観る楽しみもさることながら、本書に綴られた画家の言葉に圧倒されます。いずれも執念を感じさせる言葉ばかり。絵を描くことに、写実に心を囚われたものぐるひたち、彼らや、彼らの後継は大きな芸術の渦の中でどう裁かれていくのか。「写実」をどのようにとらえようと、これからも宇宙人が描いたような絵は生まれ続ける。 
読了日:09月24日 著者:土方明司,江尻潔


京暮し (暮しの手帖エッセイライブラリー)京暮し (暮しの手帖エッセイライブラリー)感想
大村しげさんは一日一日を深く味わえる方なのだろう。それも肩に力を入れず自然体で。季節の移ろいを感じ、あぁ、そろそろあれを作ろう、あれが食べたいと思う。たとえば本書を読んだ白露の候なら「きごしょうのたいたん」である。食べ物だけではない。当たり前の日々を楽しめる方といえばいいのだろうか。日常の中にあるささやかなしあわせを感じ世をはかなんだり、不平不満を並べ立てることはしない。そんな心持ちならば、毎日はおだやかに過ぎつつ、しかしその日その日が新鮮だろう。大村しげさんは人生の達人である。良い本に出会いました。
読了日:09月24日 著者:大村しげ


「いいこと「が起こる人、「悪いこと」が続く人 2017年 10 月号 [雑誌]: PHP 増刊「いいこと「が起こる人、「悪いこと」が続く人 2017年 10 月号 [雑誌]: PHP 増刊感想
本書を読んで判ったのは「人生は楽しいものであり、楽しみは引き寄せるものである」と言うこと。願いと情熱を持つ、行動を起こす、人を大切にする、感謝する。そうしていれば楽しみやら幸せやらは引き寄せられる。柏井壽さんの『古都いいことめぐり 京都を歩いてしあわせになる!』に紹介された美味しいうどんがワンコインで食べられる店『殿田』、同じくワンコインで手作りの洋食が食べられる店『ますや』には行こう。自転車で京の町を気の向くままポタリングしよう。「いいこと」を具体的なかたちに現すとしたら、そういうことでしょう。
読了日:09月20日 著者: 


小さいそれがいるところ 根室本線・狩勝の事件録 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)小さいそれがいるところ 根室本線・狩勝の事件録 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
辛口になりますが、率直に言ってこの作品はまだ出版されるだけの域に達していないように思います。たかが一読者が偉そうなことをいうと言われるかも知れません。しかし、年間100冊程度の小説を読んできた者からみて、そう思うのだからあながち間違いではないとも思います。私の見るところこの小説の良いところは「旅+鉄道+ミステリ」という多くの読者の欲求に応えたところ。サスペンス要素と意外な真相はそれなりに用意されています。しかし、それらすべてが今一歩。とりわけ文章がいただけません。宝島社さんの姿勢を問いたいと思います。
読了日:09月17日 著者:綾見 洋介


Shingu―自然のリズムShingu―自然のリズム感想
新宮さんの作品は自然の中にあって、或いは都市環境の中にあって、際だってそこにある。そこにある種の緊張感を生み出してもいる。しかしその際だってそこに存在するものは、そこにある環境(空気、湿度、温度、雨、風、雪、水、木々、空、雲など)に感応し、それらを動きとして我々の目に見せてくれる。その佇まいは際だってはいるが決してぎくしゃくせず、そこに溶け込んでいる。まるで自然や環境が人間の言葉を獲得し人に語りかけてくるかのようである。今年の夏、美ヶ原高原美術館へ行った。山と空と雲と「星のコンパス」が友だちになっていた。
読了日:09月14日 著者:新宮晋


刑事マルティン・ベックロセアンナ (角川文庫)刑事マルティン・ベックロセアンナ (角川文庫)感想
本作の主役はマルティン・ベックではなく、導入部分で死体となって登場したロセアンナである。発刊当時としては最も進歩的だといえる女性として描かれている。知的で古くからのキリスト教的束縛や固定観念から解放されており、あくまで論理的に正しいことを信奉し自分に正直に自立と自由を重んじる女性。この女性像があったればこそ、第1作目にして絶大な人気を博したのだろう。しかし今となっては「ウーマンリブ」という言葉も死語となっている。その意味で本書は既に古典的存在となっており、味わい深く読めるのもおそらく私の世代が最後だろう。
読了日:09月13日 著者:マイ・シューヴァル,ペール・ヴァールー


二十四節気の京都 観る、知る、食べる、歩く (京都しあわせ倶楽部)二十四節気の京都 観る、知る、食べる、歩く (京都しあわせ倶楽部)感想
今日、9月9日の節気は白露。その項を読むと「ぼた餅」と「おはぎ」について書いてある。春の彼岸は「ぼた餅」、秋は「おはぎ」。それぞれ牡丹の花、萩の花に由来し、同じお菓子が季節によって名前を変えるのだとか。私はそうしたことも知らずに過ごしてきた。これまで「ぼた餅」と「おはぎ」を間違いなく使い分けてきたかどうか、いささか心許ない。またこの節気を代表する果物として「梨」について書いてある。そのまま水菓子として食べられるだけではなく、白和えなど料理にも使うのだとか。「梨の白和え」は食べたことがない。作ってみたい。
読了日:09月09日 著者:柏井 壽


STORY BOX 2017年4月号STORY BOX 2017年4月号感想
久々に「STORY BOX」を購入。2011年9月号以来である。思うところあって購読を止めていたが、このところ柏井壽さんが『鴨川食堂』や『うみちか旅館』を連載されていると知り再開した次第。『うみちか旅館』は第3話まで話が進んでいる。これ以前の既刊本については小学館のサイトで手に入らない、古本を探すしかない。短気にも購読を中止した報いか・・・とほほ。「今月のイチオシ本」「今日のメシ本昼ごはん」などコラムが充実。初期の「北上次郎の本の話」というコラムを楽しみに読んでいたのを懐かしく思い出した。
読了日:09月09日 著者:柏井壽、大沢在昌、黒野伸一、笹本稜平、福澤徹三、谷津矢車、飯嶋和一、綿矢りさ、大友啓史


深川恋物語 (集英社文庫)深川恋物語 (集英社文庫)感想
吉川英治文学新人賞受賞作というから、宇江佐さんの初期の作品らしい。そこにあるのは人情の温かさと凜とした矜持。六つとも粒ぞろいの小編。とりわけ「下駄屋おけい」「がたくり橋は渡らない」「凧、凧、揚がれ」が素晴らしい。MVPは「がたくり橋は渡らない」だろう。何度読み返しても良い。
読了日:09月03日 著者:宇江佐 真理

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