山陽百貨店の地下に全国の名物菓子を売っているコーナーがある。私は岡山の「大手まんぢゅう」が好きなのでときどき立ち寄る。この土日も家にいることになるな、すると茶菓子が要るなと、いつもの「大手まんぢゅう」に加えて「桔梗信玄棒」も買って帰った。信玄餅で有名な山梨県の桔梗屋の菓子である。
生地は小麦粉なのだろうが、このサクッと軽い歯触りと風味はきな粉を練り込んで得られるものらしい。それに黒蜜がたっぷりしみ込んで生地がしっとりし、それにきな粉がまぶしてある。黒蜜ときな粉の組合せはおいしくないはずがない。ふわふわ、しっとりの口当たりは一本でとどまらず、もう一本と続けて手に取ってしまう。
何かと似ているなとずっと思いを巡らせていてはたと気づいた。琉球菓子の「ちんすこう」である。「ちんすこう」を黒蜜に漬けきな粉をまぶすとこんな味になるような気がする。「しんすこう」の材料が小麦粉、ラード、きび砂糖。「信玄棒」が小麦粉、きな粉、植物油、黒蜜。土地柄があらわれている。