佐々陽太朗の日記

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『破斬_勘定吟味役異聞』(上田秀人・著/光文社時代小説文庫)

『破斬_勘定吟味役異聞』(上田秀人・著/光文社時代小説文庫)を読みました。

まずは出版社の紹介文を引きます。

  六代将軍家宣は、懐刀の新井白石の進言により勘定吟味役を復活、水城聡四郎が抜擢された。聡四郎は、勘定方に関わる一切を監査する役に戸惑いながらも、幕府財政の立て直しを図る。そんなとき、手抜き工事絡みで、庶民の貨幣への不信を知った。数回に及ぶ小判の改鋳は誰が? それに絡む利権の集約先は!?
 不正を糺す、聡四郎の免許皆伝・一放流必殺の太刀!

 

破斬―勘定吟味役異聞 (光文社時代小説文庫)

破斬―勘定吟味役異聞 (光文社時代小説文庫)

 

 すっかり上田秀人氏の剣豪小説にはまってしまったようだ。舞台は幕府勘定方、追求するのは慶長小判から元禄小判への改鋳に潜む謎。主人公はそろばん勘定の得意な文人にあらず、一放流免許皆伝の武人。そんな主人公がある日突然勘定吟味役を命ぜられる。新井白石紀伊国屋文左衛門など歴史上名を知られた人物も登場し、グイグイ読ませるストーリー展開。なかなか面白い。最終場面、金座での大立ち回りは圧巻。ヒロイン紅との恋の展開も気になる故、続けてシリーズ第二弾『熾火』を読みまする。一放流師範・入江無手齋の次の言葉は記憶しておきたい。「よいか、駄目だと思うときほど前に出よ。引くは機を失うだけではなく、気も萎えるからの」