佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2016年4月の読書メーター

2016年4月の読書メーター

先月はトモダチのオススメ本を中心に読んだ。

木下古栗、上田秀人、似鳥鶏、それぞれ初読みです。

 


読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3714ページ
ナイス数:2188ナイス

 

相剋の渦 勘定吟味役異聞(四) (光文社文庫)相剋の渦 勘定吟味役異聞(四) (光文社文庫)感想
勘定吟味役・水城聡四郎、いよいよ御三家紀州藩主・徳川吉宗と相見える。家継、吉宗、新井白石、間部詮房と登場人物が歴史上有名な実在人物だけにある程度の予備知識がある。それだけに上田秀人氏が七代将軍・家継から八代将軍・吉宗への継承をどのように描くのかが楽しみ。本書ではやはり間部詮房が家継の生母・月光院とできていたとの説を採っている。史実はどうあれ小説的にはその方が面白いのだろう。そのあたりにあまり興味はないが、ヒロイン紅と主人公聡四郎の微笑ましい関係がこれからどのように進展していくのかは気になるところ。
読了日:4月30日 著者:上田秀人


秋霜の撃  勘定吟味役異聞(三) (光文社文庫)秋霜の撃 勘定吟味役異聞(三) (光文社文庫)感想
強いっ! 強いぞ、水城聡四郎。そして、徳川六代将軍・家宣から七代将軍・家継への世継ぎの裏で繰り広げられる権力闘争は読み応えあり。上田秀人の剣豪小説にどっぷりはまりました。剣豪小説の華はなんといっても激しい斬り合いの場面。どうしても殺伐としがちなところを、ヒロイン役の紅の存在が明るさと温かみを添えている。そのあたりの妙も上田氏の筆の立つところ。このような小説の楽しみ方は、とにかく作者の意図するところに身を任せて読み進めること。これにつきる。
読了日:4月30日 著者:上田秀人


ダチョウは軽車両に該当します (文春文庫)ダチョウは軽車両に該当します (文春文庫)感想
ダチョウが軽車両に該当するというのは冗談ではないようだ。法律上、馬や牛、ロバなどに乗って公道を走る場合、それらは軽車両扱いになるらしいのだ。では亀に乗った場合も軽車両なのだろうか。亀は低速だから人が乗っていても歩行者扱いで良いのではないか。浦島太郎は亀に乗って竜宮城へ行ったが、そのときの亀は船舶法の規制を受けるのだろうか。城みちるの歌う「イルカに乗った少年」っていうのもあるがイルカも船舶なのか。タイにおいてゾウは軽車両として扱われているのか。アラビアのロレンスが乗るラクダも軽車両なのか。謎だらけだ。
読了日:4月25日 著者:似鳥鶏


熾火 勘定吟味役異聞(二) (光文社文庫)熾火 勘定吟味役異聞(二) (光文社文庫)感想
いいですねぇ。何が良いといって、主人公・水城聡四郎が刀を抜いたときの態度が良い。腹が据わっておりまする。すでに葉隠「常住死身」の境地に達しているとみえる。 刀を抜き、命のやりとりをするとき、そこに迷いは無い。ただただ己が力の限りを尽くし、相手を打ち負かすことのみ考える。怖れるのはただ自分が大切に想う者を失うことだけというのがいい。本書において聡四郎の勘定吟味役としての矛先は吉原に向けられる。隆慶一郎吉原御免状』と併せ読むとより楽しめると思います。
読了日:4月23日 著者:上田秀人


破斬―勘定吟味役異聞 (光文社時代小説文庫)破斬―勘定吟味役異聞 (光文社時代小説文庫)感想
舞台は幕府勘定方、追求するのは慶長小判から元禄小判への改鋳に潜む謎。主人公はそろばん勘定の得意な文人にあらず、一放流免許皆伝の武人。新井白石紀伊国屋文左衛門など歴史上名を知られた人物も登場し、グイグイ読ませるストーリー展開。なかなか面白い。最終場面、金座での大立ち回りは圧巻。ヒロイン紅との恋の展開も気になる故、続けてシリーズ第二弾『熾火』を読みまする。一放流師範・入江無手齋の次の言葉は記憶しておきたい。「よいか、駄目だと思うときほど前に出よ。引くは機を失うだけではなく、気も萎えるからの」
読了日:4月21日 著者:上田秀人


幻影の天守閣 (光文社文庫)幻影の天守閣 (光文社文庫)感想
無類の強さを持つ主人公が多勢の敵に取り囲まれても臆すること無く立ち向かう様に、斯くありたいと願い気分が高揚するのは男の性分だろう。さらに本書は単に剣豪ものとして面白いだけでなく、天守閣の無い江戸城に、ある興味深い歴史上の仮説をすべり込ませることで、読者をあっと驚かせることに成功している。心にとめておきたいのは主人公・工藤小賢太に無住真剣流の剣を仕込んだ師匠・小田切一雲の「刀は抜くな。だが、抜かねばならぬときはためらうな。そして、刀を抜いた以上迷うな」という言葉。男として生きていく上で持つべき心構えだろう。
読了日:4月20日 著者:上田秀人


グローバライズグローバライズ感想
果たして「下ネタ」に溢れた短編集はマルセル・デュシャンの「泉」のようにアカデミズムを否定しうるのか。「下ネタ」に文学的意味は無い。少なくとも木下古栗氏にもそのような意図は無いと思われる。おそらく無邪気に使っているだけだ。しかし意味は無くとも効果はあるのではないか。我々は性的なものに無感覚でいることはできない。大方の人間が性的なものに執着と言って良いほどの興味を持っており、そしてその興味は多様な襞を持っている。木下氏によって文学的味付けをされた「下ネタ」はそうした心の襞に触れ、何らかの感慨を誘発するのだ。
読了日:4月17日 著者:木下古栗


撃てない警官 (新潮文庫)撃てない警官 (新潮文庫)感想
友人Iさんから借りた本。安東能明氏初読みです。必ずしも正義が貫かれる組織でない警察の裏側を描いて面白い。どんな組織にもその組織独特の事情があり、風土がある。潔癖に遵法にこだわると不都合が生じることもある。所謂大人の事情というやつか。主人公の心のあり方の変遷が興味深い。 「子路第十三の十八 父は子の為めに隠し、子は父の為に隠す、直きこと其の内に在り」  いろいろ考えさせられる仕事小説でした。
読了日:4月17日 著者:安東能明


ヘラヘラつうしん 83ヘラヘラつうしん 83感想
一年ほど前から『ヘラヘラつうしん』を届けていただいて読んでいる。Vol.83の巻末「どないなんの憲法9条」には私と岩田さんが「大黒や」で一杯やったときの話も登場。ISによるテロが話題になりました。それにしても、ここに私が登場するとは、意外や意外です。憲法9条に関する立ち位置は、岩田さんは擁護、私は改憲でしょうから・・・(笑) まあ、どちらも平和を望んでいる点では同じです。 びっくりしたのは表紙と裏表紙の絵の人物が岩田氏さんのお孫さん(7才)だったこと。私はてっきり岩田さんご本人だと思っていました。
読了日:4月15日 著者:岩田健三郎


午後からはワニ日和 (文春文庫)午後からはワニ日和 (文春文庫)感想
読メともだちのMさんがこのシリーズを読んでいらっしゃったので興味を覚えた。なにせキュートな動物園ミステリなもので、ゆるい。それ故、物語が佳境に入るまではのんびりしている。独特のユーモアで読ませるものの、はっきり言って眠い。通勤バスの中ではついつい寝てしまって、読み終えるのに何日もかかってしまった。しかし中盤以降、話が佳境に入ると眠気も吹っ飛びグイグイ読ませる。後半は一気読みであった。ミステリとしてなかなかの出来です。続きも読みたい。
読了日:4月13日 著者:似鳥鶏


「社外取締役ガイドライン」の解説〔第2版〕「社外取締役ガイドライン」の解説〔第2版〕感想
友人というか先輩のTさんが勉強のためにとわざわざ届けてくださいました。勉強になりました。ほんとうです。せっかく勉強したのですから、得た知識を生かそうと思います。 Tさんありがとうございました。
読了日:4月12日 著者:

 


ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)感想
京都市美術館で開かれたモネ展を訪れるにあたり、頭の中を美術鑑賞モードにしようと読んだ本です。帯の割引引換券で入館料を100円割り引いてもらいました。(笑)モネ展ではジヴェルニーの家の庭を描いた多くの作品を観ました。本書を読むことで展覧会が味わい深いものとなり、逆に実際に画を観ることで濃密な読書を楽しむことができました。同日訪れたお隣の京都国立近代美術館の企画展「オーダーメイド:それぞれの展覧会」ではアンリ・マティスの「鏡の前の青いドレス」を観ることもできた。僥倖と言わねばなるまい。幸せな一日になった。
読了日:4月5日 著者:原田マハ

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