佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『太陽といっしょ』(新宮晋・作/クレヨンハウス)

『太陽といっしょ』(新宮晋・作/クレヨンハウス)を読みました。

 

太陽といっしょ

太陽といっしょ

 

 

 子どもにとって毎日が新鮮であり、一日一日が冒険の連続であること。その冒険を終え帰る家、そこに待つ母親の存在が安らぎであること。おそらく新宮さんの子どもの頃の記憶をもとに書かれた物語だろうが、それを読む私の胸にも懐かしい感覚が蘇る。そうそう、子どもにとって自転車は魔法のような乗り物で、未だ見ぬ世界を冒険するための道具だった。自転車に乗ると風が、空が、雲が、新しい冒険へと私を誘ってくれた。

 巻末に新宮さんの言葉があった。この言葉を読めただけで、この本を買った意味があったというものだ。

 ぼくが小さかったころ、さびだらけの自転車が一台あった。

この自転車は、世界中どこにでも行ける

魔法の乗りものだと、ぼくは信じていた。

いつから迷いこんだのか分からない、

犬の仲良しの雑種の犬もいた。

毎日毎日が冒険と発見の連続だった。

そして思い出の中では、いつも太陽がいっしょだった。

                        新宮 晋

 

 新宮さんの風や水という自然エネルギーで動くオブジェは子どもの心で造られたものなのだなと思った次第。 

『最終退行』(池井戸潤・著/小学館文庫)

『最終退行』(池井戸潤・著/小学館文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

都市銀行の中でも「負け組」といわれる東京第一銀行の副支店長・蓮沼鶏二は、締め付けを図る本部と、不況に苦しむ取引先や現場行員との板挟みに遭っていた。一方、かつての頭取はバブル期の放漫経営の責任をもとらず会長として院政を敷き、なおも私腹を肥やそうとしている。リストラされた行員が意趣返しに罠を仕掛けるが、蓮沼はその攻防から大がかりな不正の匂いをかぎつけ、ついに反旗を翻す。日本型金融システムの崩壊を背景に、サラリーマン社会の構造的欠陥を浮き彫りにする長編ミステリー。

 

最終退行 (小学館文庫)

最終退行 (小学館文庫)

 

 

 この作品は「文芸ポスト」(小学館)で2002年夏号~2003年秋号に連載され、その後、単行本、文庫本となって刊行されたものです。文庫本になったのは2007年5月のこと。テレビドラマ・半沢直樹シリーズが放映され始めたのは2013年7月のことだった。もちろん本書の主人公は半沢直樹ではない。しかし銀行内に潜む不正、それも経営層によるものを題材に、上にものを言いにくい銀行の体質、熾烈な出世競争など銀行の持ついやらしい体質を描くとともに、そんな環境の中にあって非情な金貸しとしてではなく真っ当な人間として顧客に対応しようとする行員を描いた点は半沢直樹シリーズと同様だ。

 池井戸さんの作品の中にあっては、銀行の利益より人として真っ当であることを優先しようとする行員は銀行内で少数派であり、どちらかといえば冷遇されている。現実の銀行においてもそうなのかは定かではないが、確かにバブル崩壊後の様子(週刊誌やネットでの書き込みレベルであるが)を見ると、銀行という組織の理論が優先されることがしばしばであるというのはあながち根も葉もないことではないように思う。それに熾烈な出世競争にさらされた行員が自分の上層部からの評価を良くするために、あるいは成績をあげるために取引先のためにならない行動をとるということもありそうだ。そんな人でなしが跋扈する銀行という組織で、優しい心であったり、人として誠実であろうとする心は時に足かせになる。そんな心を持った行員が、それ故に出世に後れをとったとして、それは己の考えに従ったまでのこと。そこまでは仕方がないと我慢する。しかし、そうした人間がさらに踏みつけにされ、真実が不当にゆがめられ責めを負わされるに至っては我慢も限界。「やられたらやり返す!」 まさに半沢直樹シリーズと同じパターンである。同じパターンではあっても、日本人はそうした勧善懲悪復讐劇が大好物なのだ。私も日本人のはしくれである。いやらしい悪人が小馬鹿にしていた人間から反撃されこてんぱんにやられた瞬間、やんややんやの拍手喝采をおくるものだ。この銀行版水戸黄門的ワンパターンこそが池井戸ワールドだ。素晴らしい。小難しいことは言わず素直に拍手をおくりたい。

 蛇足ながら、池井戸さんの小説に熱烈な女性ファンは案外少ないのではないか。本書の主人公・蓮池に対し、女性読者がどれほどのシンパシーを感じるかは大いに疑問です。失礼ながら、池井戸さんは恋愛ものはお書きにならない方が良いような気がします。大きなお世話でしょうけれど・・・(^^ゞ

 

 

2017/11/18 姫路防衛協会研修旅行一日目(西明寺、ヤンマーミュージアム、長良川温泉ホテルパーク宿泊)

姫路防衛協会研修旅行に参加。

航空自衛隊岐阜基地で行われる航空祭の見学が一番の目的。特にブルーインパルスの展示飛行があるとのことで楽しみです。

 

まずは昼食のための立ち寄りを兼ねて紅葉の名所「西明寺」を訪ねました。ちょうど見頃でした。雨模様の天候も散策している間は傘をささずに済みました。

ヤンマーミュージアム。

世界で初めてディーゼルエンジンの小型実用化に成功した、ヤンマーの創業者・山岡孫吉のご功績に深く感銘を受けました。

宿泊は長良川温泉ホテルパーク。明日の航空祭のため、どのホテル旅館も満杯状態らしい。良く部屋が取れましたね。

八鹿 ひやおろし

本日の一献は「八鹿 ひやおろし」。

「八鹿」は「やつしか」と読みます。

兵庫県の但馬ではありません。蔵は大分県にあります。

美しい九重連山の伏流水で醸した酒。

この季節、燗酒がうまい。

アテにつれ合いが酢豚を作ってくれたと悦んでいたら、肉は鶏のささみだった。

確かに甘酸っぱい味とささみはあうが、私はやっぱり脂のついた豚肉がいい。

姫路タンメンで食す「雲呑麺」

手作りの雲呑のボリューム感はまさに「憎々しい」、元い、「肉々しい!!」。

タンメンがウリの店に初めて入り、タンメンを頼まずに雲呑麺を頼む非礼をお詫びする。

当然、店に入るときには野菜たっぷりのタンメンを食べようと思っていたのだ。しかし、メニューの表紙にあった「雲呑麺」の写真を見て一目惚れ。野菜より肉が好きなのだなと、今さらながらに自分の深層心理に気付く。

粗くおろした生姜をたっぷりかけていただくとサッパリして旨い。食べ終わる頃にはカラダがホカホカしてきて汗ばむ。巷ではインフルエンザが流行り始めたらしい。これからの季節これがいい!

とんかつ、ほうれん草の白和え、ミネストローネ、焼き林檎

本日の厨房男子。

夕食にとんかつ、ほうれん草の白和え、ミネストローネ、焼き林檎を作りました。

とんかつは生姜焼き用の薄い肉にチーズを挟んでボリューム感を出し、付け合わせにほうれん草の白和え。洋と和が喧嘩するかと思いきや、けっこうマッチしています。とんかつは洋食のようでいて実は和食だというのが私の持論です。汁物は味噌汁でも良かったのですが、ここはトマトを使ってミネストローネ。今日は日本酒ではなくビールですし、この後のデザートが焼き林檎ですから流れとしてこれが正解。