この世でもっとも美しく、効率的な乗り物。
最低限の動力で、できるだけ長い距離を走るために、恐ろしく計算され尽くした完璧なマシン。
これ以上、足すものもなく、引くものもない。空気を汚すことすらないのだ。
- 作者:史恵, 近藤
- 発売日: 2010/01/28
- メディア: 文庫
ぼくに与えられた使命、それは勝利のためにエースに尽くすこと―。陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。そしてヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。アシストとしてのプライド、ライバルたちとの駆け引き。かつての恋人との再会、胸に刻印された死。青春小説とサスペンスが奇跡的な融合を遂げた!大藪春彦賞受賞作。
紹介文にあるとおり大藪春彦賞受賞作です。しかも第5回本屋大賞の第2位受賞作でもあります。
ちなみに大賞は伊坂幸太郎氏の『ゴールデンスランバー』。これも読みたくて買ってはいますが積読本になっています。早く読まなくてはと焦ります。
2008年第5回本屋大賞の受賞作
大賞『ゴールデンスランバー』著/伊坂幸太郎(新潮社)509.5点
話が横道にそれました。この『サクリファイス』という小説ですが、すばらしいです。
本書は読者の想像を超える意外な結末を用意した優れたミステリであり、読み進むとともに緊迫感が深まる極上サスペンスであり、若者の微妙な心の揺れを描いた青春小説であり、気高き男を描いたハードボイルド小説である。
「アシストを徹底的に働かせること。それが勝つためには必要だ。自分のために働かせて、苦しめるからこそ、勝つことに責任が生まれるんだ。奴らの分の勝利も、背負って走るんだ。わかるか」
この言葉に、この覚悟にこの小説の精粋がある。