私の場合、生活が本中心になってしまっているので、何か書くとなると、どうしても本のことになる。ほぼ毎日、本屋さんをのぞき、平均二、三冊は買ってしまうので、家の中は本だらけ。考えることもほとんどが古本のことだ。今回は呑気そうに見える見える私の一日がどんなに大変か、みなさんに知ってもらいたいと思う。
(本書P6「一月」書き出しより)
『古本のことしか頭になかった』(山本善行・著/大散歩通信社)を読みました。昨年、私の大好きな書店「恵文社一乗寺店」を訪れたときに買い求めたものです。このところ古書や古本屋を扱った小説を読み続けています。
http://hyocom.jp/blog/blog.php?key=181736
裏表紙の紹介文を引きます。
古本ソムリエこと山本善行氏が、平成十七年から三年半、月刊誌に連載した古本エッセイ「天声善語」待望の単行本化。今や京都・北白川の「古書 善行堂」店主である氏が、当時送っていた古本生活とは!? 最近話題のあの本もこの人も、この時、既に登場していたとは!! 各エッセイに現在の視点からの新たなコメントを加え再構成した、泣き笑い古本エッセイの決定版。
「詩人か、高等遊民か、さもなくば何にもなりたくない」とは私の敬愛する森見登美彦氏の言葉だ。「古本のことしか頭になく」生活できる人は、まさに高等遊民ではなかろうかと思う。しかしよく考えてみると、ほぼ毎日本屋をのぞき、その都度2~3冊本を買い、家の中が本で溢れる、買った本は当然読まなければならない、それはそれで大変な毎日なのだろう。それでもそのような生き方に私は焦がれる。本屋を彷徨いつつ人生を遊ぶ、それこそ高等な生き方ではないか。
(メモ)
ジャズのカセットブックにそのタイトルを『1Q84』というものがあるらしい。村上春樹氏はこのカセットブックのことを知っていたのではないかというのは、ちょっとした雑知識。 (P11)
「古本買いはいつもそうだが、荷物が重いと心が軽い」、そうなんだよなあ。(p54)
『優雅な生活が最高の復讐である』(P57)
「おどろいて居る自分におどろいて居る自分」(P64)
古本三大愚問 1.本は何冊ぐらい持っているか 2.買った本は全部読むのか 3.そんなに買ってどこに置くのか (P80)
内田百閒の貧乏話『大貧帳』が傑作らしい。 (P101)
ちょっとそこのタバコ屋に行くのも旅だ (P134)