佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『イクサガミ 地』(今村翔吾:著/講談社文庫)

2024/03/12

『イクサガミ 地』(今村翔吾:著/講談社文庫)を読んだ。

 まずは出版社の紹介文を引く。

東京を目指し、共に旅路を行く少女・双葉が攫われた。夜半、剣客・愁二郎を待ち受けていたのは、十三年ぶりに顔を合わせる義弟・祇園三助。東海道を舞台にした大金を巡る死闘「蠱毒」に、兄弟の宿命が絡み合う―。文明開化の世、侍たちの『最後の戦い』を描く明治三部作。待望の第二巻!

 

 

 東海道を舞台にした死闘「蠱毒」もいよいよ東京に迫るところまで来た。京都天龍寺に集まった猛者292人も残り23人にまで絞られる。「蠱毒」を仕掛けた主体は当初不明であったが、少しずつその正体が見えてきた。事は明治という新しい世を迎え、武士という旧権力が没落しただけでなく、全く存在意義がなくなったことに端を発する。価値観の転換に士族の不満がマグマのごとく溜まっているのだ。内務省内警視局と駅逓局との争いもからみ、大久保利通前島密川路利良といった大立て者の登場で「蠱毒」は単なる賞金獲得の死闘から国家の大事にもなる様相。

 次巻で果たしてどのような結末を迎えるのか、全く想像もつかない。早く最終巻を読みたい。その思いの強さ、熱さはまさに噴火寸前のマグマのごとし。