ウェルズの日記

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『のうらく侍御用箱 百石手鼻(ひゃっこくてばな) / 坂岡真(著)』(祥伝社文庫)を読む

「察するにどうやら、安島は厄介なものを胸に抱えちまったらしい」
「葛籠さま、厄介なものとは何でござりましょう」
「正義だ。わしら木っ端役人にとって、これほど厄介なものはなかろうがよ」

百石手鼻 〔のうらく侍御用箱〕 (祥伝社文庫)

百石手鼻 〔のうらく侍御用箱〕 (祥伝社文庫)

坂岡真氏ののうらく侍シリーズ第2巻『のうらく侍御用箱 百石手鼻(ひゃっこくてばな)』を読みました。昨年11月に第1巻を読んで以来、待ちかねた第2巻です。

裏表紙の紹介文を引きます。

霊岸島が炎に包まれた。北町の与力・葛籠桃之進は、赤子を火焔から救う褌姿の侍に眼を瞠った。この男、「鼻紙も買えぬ百石手鼻の貧乏侍」と自嘲する幕臣で、桃之進はその人柄に惚れ込む。しかし、男には破落戸殺しの嫌疑がかかり、その裏に火事の利権を貪る悪党の姿が! 役立たずののうらく者と揶揄される桃之進が正義の剣で悪を討つ。傑作時代小説、第二弾!

痛快です。主人公・葛籠桃之進はうだつの上がらない腑抜け侍なのですが、第2巻に至って何とも言えぬ風格をそなえてきています。凄腕の使い手ながら、出世も望まず日々をひょうひょうと生きている。風采はぱっとしない。上役からものうらく者(役立たず)とさげすまれている。そんなのうらく者が、腐りきった権力に理不尽な目に遭わされている弱い者を目の当たりにしたとき、なぜか知らんぷりが出来ない。命を張って一肌脱いでしまうのである。そこには欲も打算もない。真心があるだけです。カッコイイ。