佐々陽太朗の日記

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『アルバイト探偵(アイ)』(大沢在昌・著 講談社文庫)を読む


以前から気になって買い置きしていた本『アルバイト探偵(アイ)』(大沢在昌・著 講談社文庫)を読みました。

アルバイト探偵 (講談社文庫)

アルバイト探偵 (講談社文庫)


ハードボイルドです。といっても主人公は軽妙洒脱。しかも高校生・私立探偵(プライベートアイ)。父・涼介が探偵事務所(SAIKI INVESTIGATION)を営んでおり、その仕事をアシストしている。
主人公のタイプとしては「悪人海岸探偵局 (双葉文庫)」に出てくる木須志郎(キッスのシロー)に似ている。大沢氏自身がハードボイルドについて「あとがき」に次のように書いている。

肩を怒らせ眉間に皺をよせて都会の夜を歩む男の物語だけが、ハードボイルドではない。
始終軽口を叩いている少年が、ふと真顔になって、好きな女の子のために命をかける。それを冷やかし半分で見ていた父親が、
「惚れた女のために命をかけられるようになれば、一人前さ」
などとつぶやくといったシチュエーションこそがハードボイルドじゃないかしらん、と思うのだ

良いではないですか。ハードボイルドのテーマとしての「父と子」。かくありたいと思う男の姿。女の子が「白馬の騎士」を待ち望むように、男の子はいつか自分が「白馬の騎士」になりたいと夢見るのである。

本作品は1986年に廣済堂出版から刊行されたものです。シリーズとなっているようなので、是非、続きを読みたい。大沢氏には「新宿鮫シリーズ」もあり、未だ全てを読んでいない。時間が足りない。長生きするしかない。