佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

不実な美女か 貞淑な醜女(ブス)か

  

 外交官が yes と言ったら、それは maybe の意味である。外交官が maybe と言ったら、それは no の意味である。外交官が no と言ったら、その人はすでに外交官としては失格である。
 女性が no と言ったら、それは maybe の意味である。女性が maybe と言ったら、それは yes の意味である。女性が yes と言ったら、その人はすでに女性としては失格である。


 『不実な美女か 貞淑な醜女(ブス)か』 (米原万里:著/新潮文庫)を読み終えました。おけいどんさんが『【ブックレビュー】この本よろしで!お薦めします♪♪』でご紹介下さった「米原万里を語る」(かもがわ出版)を読もうとしたのですが、米原万里さんを語る前に御著書を読んでおかねばと思いこちらを先に読んだ次第。

http://hyocom.jp/bbs/bbs_list.php?root_key=102167&bbs_id=317&res=1249398373


 それにこの題名、気になります。先日読んだ『腑抜けども、悲しみの愛をみせろ』(本谷有希子:著/講談社文庫)につづき、題名に惹かれて手に取った本、第2弾です。


 米原さんは頭の良い人ですね。読んでいてそれをひしひしと感じました。優れたエッセイ、興味深い文化論です。
 最も感心したのはその文章。大変解りやすく書いてある。「通訳者の文章とはこういうものか」と感心することしきり。通訳者は相手に正確に意図を伝えることが仕事。それゆえ、己から一歩退いた客観がある。そこには独りよがりの耽溺や文学性(あるいは芸術性)は入りこむ余地がない。非情に明快かつ深遠な真理がすうーっと頭の中にしみ込んでくる。ちなみに私にとって、独りよがりの耽溺や文学性をふりまわしているとおもわれる作家は、失礼ながら大江健三郎氏であり、高橋源一郎氏であったりする。


裏表紙の紹介文を引きます。


同時通訳者の頭の中って、一体どうなっているんだろう?異文化の摩擦点である同時通訳の現場は緊張に次ぐ緊張の連続。思わぬ事態が出来する。いかにピンチを切り抜け、とっさの機転をきかせるか。日本のロシア語通訳では史上最強と謳われる著者が、失敗談、珍談・奇談を交えつつ同時通訳の内幕を初公開!「通訳」を徹底的に分析し、言語そのものの本質にも迫る、爆笑の大研究。


 

お薦めの良書です。


Special thanks to okeidon-san.

 

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