佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

8月の読書メーター

8月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2114ページ
ナイス数:1360ナイス

 

 

先月はたくさんのナイスをいただきました。

月間1360ナイス☆!は自己ベスト。感謝、感謝です。

この調子なら、今年中には10000ナイス達成かも。


ジス・イズ・アイルランドジス・イズ・アイルランド
一目見て欲しくなりました。装丁を見たとたん、その深い緑色に心惹かれ、アイルランドについて書いてあるということで恋い焦がれ欲しくなったのです。理屈ではありません。たとえば私は女性が宝石を身につける気持ちが分かりません。全く意味のないことのように思えます。びっくりするぐらいのお金を出すだけの価値があるようには思えないのです。しかし、女性は宝石を見れば身に付けたくなる。そんなものなのでしょう。私にとって、この本がまさに宝石です。存在を知ってすぐに購入。ワクワクしながらページを捲りました。大切にします。
読了日:08月01日 著者:ミロスラフ サセック


ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)
虐殺器官』と同様、近未来の徹底した管理社会を小説の舞台としている。そしてお約束どおりその近未来管理社会は病んでいる。誰も死なない(死ねない)究極の健康社会という病んだ社会。窒息しそうなほど優しい空気に溢れた社会。本書はその病み方ゆえ、「フィリップ・K・ディック賞・特別賞」受賞という日本人SF作家初の快挙を成し遂げたのは当然のことといえる。SFには「病んでいる」というテイストが必要だ。そういう私自身も病んでいる。かつて「病んでいいない人間にはSFを読む資格がない」と言ったのは誰だったか。
読了日:08月07日 著者:伊藤 計劃

 


丹羽隆志の日本ベストサイクリングコース10〈vol.1〉丹羽隆志の日本ベストサイクリングコース10〈vol.1〉
いつかは行きたいところばかり。休日の夕刻、酒をちびりちびりやりながら、紹介されたコースを地図でたどりながら、インターネットで現地の情報を収集し、昼飯は何を食うかなぁ、夜の居酒屋はどこが良いかなぁ……などと思いを巡らせる。至福の時間です。
読了日:08月07日 著者:丹羽 隆志

 


魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章 (新潮文庫)魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章 (新潮文庫)
米原さんのエッセイには結構下ネタ(あるいはスカトロ・ネタ)が登場する。こうしたネタが一種の興味と笑いを持って語られるのは世界共通の価値観であって、おそらく米原さんが出会われた様々な分野でのエキスパートとの会話の中で語られたジョークなどがそのベースになっているのだろう。米原さんのエッセイが時にそうした下ネタを扱いながらもけっして下品にならないのは彼女が持つ知性と気品ゆえのことであろう。
読了日:08月14日 著者:米原 万里

 


檸檬 (280円文庫)檸檬 (280円文庫)
梶井基次郎という作家を知ったのは、万城目学氏の小説『ホルモー六景』第三景「もっちゃん」を読んでのこと。そこには平成17年、丸善京都河原町店が閉店した日、フロアのあちこちに客がこっそり置いていった檸檬があったというエピソードが語られている。梶井氏は31歳で夭折した。命日3月24日は「檸檬忌」と呼ばれる。もう丸善河原町店は無い。来年の3月24日には京都ラク四条烏丸3Fか岡山シンフォニービル地下1階に檸檬を持ってウロウロしている私がいるかもしれない。ちと気触れてしまったか。
読了日:08月16日 著者:梶井基次郎

 


自選 ニッポン居酒屋放浪記 (新潮文庫)自選 ニッポン居酒屋放浪記 (新潮文庫)
本書に登場する居酒屋の何軒かには実際に行ったことがある。根岸の「鍵屋」、金沢の「源左ェ門」(本書では「源左衛門」となっっているがおそらくコチラが正しい)、長田の「吟醸」、三宮の「森井本店」「八島東店」がそうだ。しかしそれは本書に紹介された居酒屋の極々一部に過ぎない。あそこにも行きたい、ここにもと付箋をつけていくと本は付箋だらけだ。とりあえず二宮の「藤原」、札幌のバー「やまざき」にはどうしても行きたい。あと大分に行って【独特のあえもの】を食べたい。
読了日:08月20日 著者:太田 和彦

 


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)
生まれてこの方、日本に住んできた私はなんとボーッとして暮らしてきたのか。この本を読んでそのことを思い知らされました。理論としては理想であっても、そこに人が介在すれば矛盾だらけの欺瞞に満ちた社会が現出する。何故なら社会は理論で解き明かせるほど単純ではないのだから。それに人間は不完全で、欲深く、自分勝手で、嘘つきな生き物だから、そんな人間の振る舞いの所産たる社会に美しい秩序など求むべくもないのだ。しかしそうであっても人は赦し、人と繋がり、未来を夢見る。それこそ人間の美質と言うべきか。
読了日:08月22日 著者:米原 万里

 


米原万里を語る米原万里を語る
実妹(井上ゆり)と義弟(井上ひさし)他、米原万里さんが生前親しくしていた人々が語る米原万里の魅力。ゆりさんは小学生の頃、万里さんと共にプラハソビエト学校に通っただけに、子どもの頃の万里さんの素顔を目の当たりにして育っているはず。そんな方が語る米原万里像は外から見た万里さんの印象(服装が派手で、化粧も香水もきつく、すごく大胆で力強い人)とは少々異なる。本当はずいぶん慎重な性格で、臆病なところがあったという。人は皆、外に向かっては突っ張っているが、親しい人にふと見せる素顔は繊細だったりするんだよなぁ。
読了日:08月29日 著者:井上 ユリ,小森 陽一,井上 ひさし,金平 茂紀,吉岡 忍

 


米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F)米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F)
米原万里さんの講演録四本が本にまとめられたものです。米原流男女関係論・国際関係論といったところ。たとえば国際化について彼女は「日本人の言う国際化は国際的な基準に自分たちが合わせていくという意味だが、アメリカ人の言う国際化(グローバリゼーション)は自分たちの基準を世界各国に強要していくという意味であって、全く正反対の意味を持っている」と喝破する。まことに慧眼と言うべきである。お得意の下ネタも交えて楽しくも目から鱗の講演である。本ではなく会場で聴きたかった。
読了日:08月31日 著者:米原 万里