佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

9月の読書メーター

9月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3564ページ
ナイス数:1972ナイス

 

先月は1972ものナイス☆をいただきました。今、累積で☆9475ナイスなので10月中には念願の10000ナイスを達成できそう。ナイス☆をいただいた皆様に感謝します。読書する上でたいへん励みになります。読んだ本の中で特によかったのは、玉岡かおる氏の『銀のみち一条』と和田竜氏の『小太郎の左腕』。そして一番の収穫は三羽省吾氏の『太陽がイッパイいっぱい』。三羽氏の他作を読みたくなりました。早速amazonで『厭世フレーバー』と『イレギュラー』を発注。秋の夜長とはいえ、睡眠時間はかなり短くなりそうな予感。


STORY BOX 24STORY BOX 24
なんと夏川草介氏の最新作『神様のカルテ3』が掲載開始。ちょっと待った!! 私はまだ『神様のカルテ2』を読んでいないのだ。文庫化待ちなのだ。それなのに『神様のカルテ3』を先に読んでしまって良いのか? と、大いなる疑問を抱きながら読んでしまった。そりゃー読まないわけにはいかないでしょ。据え膳喰わぬは男の恥とも言いますからね。それにしても、森見登美彦氏の『モダンガールパレス』はどうなったのだ? 小学館さん、不定期すぎるやろー、まさか、このまま連載中止なんてことないですよね。小学館さん、登美彦さん、善処されたし。
読了日:09月03日 著者:相場 英雄,飯嶋 和一,北上次郎,五條 瑛,笹本 稜平,夏川 草介,三羽省吾,室積 光

 


心星ひとつ―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-7 時代小説文庫)心星ひとつ―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-7 時代小説文庫)
今作で澪は天満一兆庵を再建するチャンスに恵まれ、想い人、小松原様と結婚するためのみちすじも見えてくる。それぞれのチャンスに澪はどのように考え、どのように対処するのかが本書の読みどころ。澪がめざす心星(決して譲れない、辿りたい道)とはどのようなものか。心星をめざす中で何を捨てて何を手に入れるのか。どうやら心は決まったようだ。雲外蒼天、艱難辛苦の末に望むことが出来る真っ青な空とはどのような空なのか。次作が楽しみ。
読了日:09月03日 著者:高田 郁

 


夕映え天使 (新潮文庫)夕映え天使 (新潮文庫)
泣かせの浅田らしい六つの短編。「夕映え天使」と「切符」が好み。人生にはどうしようもない現実がある。変えることが出来ないという意味ではそれは運命といっても良いかもしれない。人は運命の前には無力だ。しかし、同時に人は運命を受け入れながら気高さを失わず生きることが出来る。あるいは死ぬことが…。浅田氏の小説はいつも「気高さを失わなければ、ときには現実にまさる真実を見ることができる、奇跡をおこすことが出来る」と信じてみようと思わせてくれる。
読了日:09月10日 著者:浅田次郎

 


出口のない海 (講談社文庫)出口のない海 (講談社文庫)
回天の搭乗員は万に一つの助かる可能性もない出撃が怖くなかったわけではない。如何に訓練を積み重ねたとて、魂の高みに達したとて人間であれば、死が怖くなかったはずはないだろう。しかし信じがたいことに明日は出撃するという送別会での搭乗員の表情は清々しかったという。皆が微かな笑みを浮かべ、静かに酒を酌み交わしたという。一切の私を捨て、公に全てを捧げたとき、人はそこまでの高みに達することができるであろう。回天に搭乗し、海に散った若者に比して、我が身を省みるに羞恥に身の縮む思いです。
読了日:09月10日 著者:横山 秀夫

 


銀のみち一条〈上巻〉 (新潮文庫)銀のみち一条〈上巻〉 (新潮文庫)
「千金を買う市あれど、一文字を買う店なし」 学問は人を頼らずとも自分でひとりでやれる。要は自分の心がけ次第などと甘いことを考えていた自分が恥ずかしい。一昔前までは、たとえ志があっても、出自や性別によって抗いがたい状況があったことを改めて思い知った。自分ではどうしようもない運命に翻弄されつつ、すてばちになることなく運命に立ち向かう登場人物の幸せを願いつつ、下巻に突入。
読了日:09月13日 著者:玉岡 かおる

 


銀のみち一条〈下巻〉 (新潮文庫)銀のみち一条〈下巻〉 (新潮文庫)
貧しさ故に、発展途上にあるが故に理想の世界は遠い。物事は人々がそうあって欲しいと思うとおりにならない。全員が救われ満たされるなどということは夢物語に過ぎず、現実には誰かが泣く。人々は泣いた者の犠牲の上にかろうじて生きてゆけるのだ。「どうすれば最大多数が泣かずにすむか」それが、この物語に登場する人物、雷太、芳野、志真の規範だ。「最大多数の幸福」ではなく「最大多数が泣かずにすむか」という表現が哀しくも厳しい。人のために懸命に生き、あるいは己を捨てて他を生かそうとした高潔な心に胸を熱くした。
読了日:09月15日 著者:玉岡 かおる

 


STORY BOX 25STORY BOX 25
読んだといっても、全てを読んだわけではありません。読んでいるうちにある決断に至ったのです。購読をひとまず中断しようという決断です。思えばVol.1に森見登美彦氏の「夜行」という短篇が掲載されていることを知り読み始めた月刊誌です。森山大道氏の写真も素敵でした。しかし、今月号から森山氏の写真も無くなり、表紙には向井理氏の写真、中にはインタビューが掲載されています。なにかイメージが違うんだなぁ。どうせインタビューを載せるなら、作家のインタビューを載せて欲しい。だって、小説を読みたくて購読しているのですから。
読了日:09月18日 著者:阿川大樹,飯嶋 和一,北上次郎,五條 瑛,笹本 稜平,小路 幸也,仙川 環,嶽本 野ばら,夏川 草介,室積 光

 


小太郎の左腕 (小学館文庫)小太郎の左腕 (小学館文庫)
一五五六年といえば謂わば鉄砲の黎明期ともいうべき時代の話だ。和田氏のとらえ方として、この時代の武将は命を惜しまず、名をこそ惜しむ。英雄たるもの卑怯な振る舞いや見苦しい生き方を最も忌み嫌うのだ。男が男たり得た時代に、無垢な心を持った少年とヒロイズムに生きる武将二人が相見えたとき、物語は想像を絶する展開を見せる。それは単に領土や富を争う戦に非ず、己が最も大切にするものは何かを自らに問う戦いであった。登場人物は個性的で、その魅力たるや尋常ではない。そして、彼らの生きざま、死にざまはひたすら美しくカッコイイ。
読了日:09月19日 著者:和田 竜

 


太陽がイッパイいっぱい (文春文庫)太陽がイッパイいっぱい (文春文庫)
いささか下品な表現が頻発し暴力的です。どのように下品かと言えば「チ●ポに芯はいってもた」などという表現が平気で出てきます。登場人物に吐かせる台詞は些か直截的で下品ではあっても、その魂自体はあくまで高潔。彼らは小賢しく立ち回り、ちまちま生きることなどはなから頭になく、ただただかっこ悪い生き方はしないと決めている。彼らにとってかっこ悪い生き方とは、例えば、お金のために気にくわないヤツにヘイコラしたり、弱い者を痛めつけるような行為だ。解体屋という掃きだめに高潔の士がいた。
読了日:09月28日 著者:三羽 省吾

 


その日のまえに (文春文庫)その日のまえに (文春文庫)
その日とは自分が、あるいは自分にとって大切な人が死を迎える日。自分が迎えるその日、気がかりは自分がいなくなった後の家族のこと。大切な人が迎えるその日、それは自分がその日を迎えるより100倍も哀しく切ない。その人が自分の命のことより、残された家族の無事を思いやっているのが判るだけに切ないのだ。来る日も来る日も思い悩み、人知れず涙を流し、その涙の数だけ体が衰弱し透明になっていく。そしてその日がくる。生きたしるしは日常の中でどんどん薄れていくが、想いは残された者の心にいつまでも残る。それこそが生きた証。
読了日:09月30日 著者:重松 清

2011年9月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター