佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

7月の読書メーター

2013年7月の読書メーター

読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3421ページ
ナイス数:4135ナイス

 

先月は待ちに待った新刊がたくさん読めて倖せであった。森見登美彦『四畳半王国見聞録』、高田郁『残月』、R.D.ウィングフィールド『冬のフロスト』、すべてに満足。藤野恵美さんは初読みであったが『ハルさん』は胸が熱くなるすてきなミステリーでした。

4135ものナイスをくださった皆様に感謝。



風渡る (講談社文庫)風渡る (講談社文庫)感想
今、話題の人、黒田勘兵衛とは何者ぞと興味があり本書を読んだ。うーん、なんだかなぁ。この小説の主人公黒田勘兵衛にも、準主人公ジョアン・デ・トルレスにも思い入れることなく読み終えてしまった。時は戦国時代、織田信長豊臣秀吉明智光秀大友宗麟高山右近竹中半兵衛細川ガラシャ・・・、登場人物は多士済々、信長や秀吉が覇者となっていく過程にキリシタンと南蛮文化が影響したという視点も面白い。しかし正直なところ小説世界に入り込めなかった。なんだかなぁである。
読了日:7月29日 著者:葉室 麟

 


冬のフロスト<下> (創元推理文庫)冬のフロスト<下> (創元推理文庫)感想
風采が上がらず、下品なジョークをとばしてはすべってばかりいるフロスト警部。憎まれ口をたたき理想の上司タイプにはほど遠いが、本当は心優しく人の情ってヤツがわかった男だ。そんな主人公の魅力もさることながら、フロスト警部シリーズをより魅力的にしているのは脇役だ。いけ好かないお追従署長マレット。ギラギラ上昇志向女性警部代行のリズ・モード。そんなモードに階級を追い越されひがむウェルズ。スケベでお人好しで役立たずの部下モーガン刑事。まさに多士済々。脇役の光る極上小説。上下巻あわせて1千ページを読んた労力に後悔なし。
読了日:7月21日 著者:R・D・ウィングフィールド

 


冬のフロスト<上> (創元推理文庫)冬のフロスト<上> (創元推理文庫)感想
マレット署長が州警察本部のお偉方にいい顔をしたいばかりに十人もの警官を応援に送った手薄なときにかぎってクソみたいな事件が頻発。二件の少女失踪事件に加えて少年の失踪、コンビニ強盗事件、連続売春婦殺害、怪盗枕カヴァー事件ともうデントン警察署はヒッチャカメッチャカ。しかも事件のほとんどはいっこうに解決の兆しもない。膠着状態が延々と続くのだが退屈しないのはどうしたことか。上巻503Pというヴォリュームにも関わらず、全く飽きさせないおもしろさはフロスト警部の憎まれ口と減らず口とクソおもしろくもないジョークの賜か。
読了日:7月19日 著者:R・D・ウィングフィールド

 


別冊 図書館戦争〈2〉別冊 図書館戦争〈2〉感想
「もしもタイムマシンがあったら」緒方副隊長が大学時代に戻りたいと思う気持ちが切ない。不惑を二年過ぎた今も想い続ける二人。お互い嫌いじゃないのに別れてしまった選択は間違いだったのか? 二十年近く、お互い以上に心が振れる相手がいなかったから、どちらも独り身のまま。その選択を間違いでなかったと云える方法が一つだけあるように思える。きっとそうなると信じたい。また、柴崎と手塚のハッピーエンドを祝福したい。有川さんは読者がそうあって欲しいと思う結末を用意してくれる。
読了日:7月15日 著者:有川 浩

 


別冊 図書館戦争〈1〉別冊 図書館戦争〈1〉感想
あぁ、こんな暑い日によりによってこんな熱苦しい本を読んでしまった。今日(2013/07/11)、日本列島のほとんどの箇所で本年最高気温を記録したのだ。群馬県館林市ではなんと39.5℃を記録したらしい。私が住んでいるところはそこまでではなかったが、体感温度では35℃はあった。躰も顔ものぼせて真っ赤っかである。私の躰から立ち上る暑さだけで、周りの気温が5℃は上がったぞっ! しかも甘ったるくベトベトときている。それでも読んでしまう、読ませてしまうこの小説の得体の知れない魅力は何だ。このっ、このっ、読ませ上手! 
読了日:7月11日 著者:有川 浩

 


有頂天家族公式読本有頂天家族公式読本感想
本日7月7日よりアニメ放映が始まるとなれば、「その前にとくと読んでおかねばなるまい」と事前の勉強に余念のない私である。私は幼少の頃からよく勉強をする子供であった。その美質は今も変わらない。「情報を制するものは世界を制す」とは今も昔も定説である。「定説」とは「疑いの無い証明済みの確定的であるとされる説」であるから、私は疑いようもなくせっせと情報取得に刻苦勉励したのである。書き下ろし短編『冬の女神と毛玉たち』も読み終えた今、「いつでも来い!」とつんのめって蹈鞴を踏むような状態である。とっとと放映したまえ!
読了日:7月7日 著者:森見 登美彦,「有頂天家族」親衛隊

 


ハルさん (創元推理文庫)ハルさん (創元推理文庫)感想
目頭が熱くなること数回。年頃の娘を持つ父親である私には胸がいっぱいになるミステリでした。人には先のことが分からない。幸せに包まれたひとときも、次の瞬間には失ってしまいかねない危ういもの。だからこそ、人はその刹那を記憶の奥底に大切にしまい込むのだろう。著者・藤野恵美氏はあとがきに「物語をつむぐことは祈りに似ています」と書いていらっしゃいます。この物語は藤野氏があらまほしと思う父娘の姿なのですね。読み終えた本を大切にそっと閉じました。
読了日:7月7日 著者:藤野 恵美

 


残月 みおつくし料理帖 (ハルキ文庫)残月 みおつくし料理帖 (ハルキ文庫)感想
「ただ寒中の麦を思へ」 冬の寒さ、雪の冷たさ、重さを受けとめたとき、そこに春を予感する。必ず来る春を信じて生き抜くということか。この言葉の持つ意味を思うとき、著者・高田郁氏の次巻に向けた腹づもりを感じる。冬来たりなば春遠からじ。次巻が上梓されるのは半年後か一年後か。高田さん、長すぎた冬にならぬようお願いします。(特別収録「秋麗の客」はさわやかな短編でした。発刊を首を長くして待っていた読者への高田さんからのプレゼントですね。ありがとうございます)
読了日:7月6日 著者:高田 郁

 


四畳半王国見聞録 (新潮文庫)四畳半王国見聞録 (新潮文庫)感想
「英雄は英雄を知る」と云えり。転じて「阿呆は阿呆を知る」。「知者は惑わず勇者は懼れず」と云えり。転じて「知者は惑わず阿呆は廃れず」。「踊る阿呆に見る阿呆」と云えり。転じて「書く阿呆に読む阿呆」。読む阿呆とは私のことである。同じ阿呆なら書く阿呆になりたい。しかし天は私に才を与え給わず、サイコロを振り給わず。シュレディンガーの猫の運命は箱を開けてみなけりゃわからない。何を書いているのかわからない。やはり私は阿呆です。阿呆嵩じて崇高となると云えり。ならば私はそれを矜持としよう。
読了日:7月4日 著者:森見 登美彦

 


悪意 (講談社文庫)悪意 (講談社文庫)感想
「人は自分が信じたいものを信じる」と云ったのは誰だったか。言い換えれば「自分が認めたくないものは別の解釈をする」と云うことでしょう。同じことを複数人が同時に見たとしても、見え方は人それぞれに微妙に違うものです。そして実際に自分が目の当たりにしたことであっても、それを認めたくないという思いがあれば、ついには自分の都合のいいように記憶すら変わってしまうほどである。人間とはそのようにふるまう生き物などだと云うことを改めて感じた。それにしても東野圭吾氏には翻弄されっぱなしである。クヤシイが次も読もう。
読了日:7月2日 著者:東野 圭吾

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