佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

ゆれる

 映画『ゆれる』(DVD)を観ました。公開がちょっと2006年7月8日だから、いささか時季を逸した感があります。一年ほど前、TSUTAYAに行ったとき娘が良い映画だと賞めていた作品です。監督は西川美和氏。

 よくできた映画です。3~4回観なおしても、新たな疑問がでてきて別の解釈をしてみるような、まさに”ゆれる”作品です。兄・稔役に香川照之、弟・猛役にオダギリジョー。この二人の演技がまた素晴らしい。香川照之は考え尽くした演技で、表情一つであの表情の意味は……と視聴者を考えこませます。結末を迎えてなお疑問を残し、視聴者を惑わせる。もちろんそれは監督・西川美和氏の意図するところだろうが、香川氏はその意図を見事に演技で実現している。これはすごいことです。もちろん、弟役のオダギリジョーの演技も素晴らしい。女にモテて、東京で暮らし、実家のことなど顧みもしない嫌みったらしいカメラマン。これほどのハマリ役も無いだろうと思われます。

 とにかく深読みすれば深読みするほど、本当のところはどうなのだ? と分からなくなる。登場人物の心の揺れが観る者にひしひしと伝わってきて、視聴者を迷わせ視聴者の考えも定まらずゆれる。そんな映画でした。